洋野菜ともいい、外来品種のなかでとくに明治以降にヨーロッパやアメリカなどから導入されたものをいう。西洋野菜に対する語として和野菜、中国野菜があるが、和野菜そのものがはっきりした定義がない。というのは、和野菜自体が主として中国大陸からの外来品種が定着したものが多いためである。明治以降西洋から栽培用品種として導入されたものでも、ジャガイモ、タマネギ、トマトなどのように日本国内に定着したものでは、西洋野菜とは思わない人も多い。
西洋野菜の導入のきっかけは、日本に在住する外国人用としてレタスやセロリが栽培されたことである。その後西洋料理が広がり、とくにサラダという、いままで日本では習慣のなかった野菜の生食が、西洋野菜の利用を広めた。西洋野菜の栽培は、生食する点からいままでの有機栽培でなく、化学肥料を用いた清浄栽培が求められたのも大きな特徴である。近年では、野菜の商品化が進み、珍しい品種としてさらに数多くの西洋野菜の紹介がなされ、一部は空輸で運ばれ、また国内での栽培も行われるようになった。
一般にいう西洋野菜は、アスパラガス、カリフラワー、キャベツ、セロリ、サラダナ、レタス、トマト、パセリ、ピーマン、ブロッコリー、メキャベツ、ハツカダイコン(ラディッシュ)、ウォータークレス(クレソン)、チコリー、リーキ、スクワッシュ、アーティチョーク、プリーツレタス、ビーツ(カエンサイ、ビートともいう)、セロリアーク(セロリラブ、セルリアクともいう)、エンダイブなどである。また、各種香草野菜(セージ、バジル、ミント、タイムなど)の利用も増えつつある。
在来種の品種改良や、バイオテクノロジーなどの利用による新品種の生産などで野菜の種類はどんどん変化することが考えられる。したがって、従来のイメージによる西洋野菜という区分けはますます不明瞭(ふめいりょう)になる可能性が大きい。
[河野友美]
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
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