西面の武士(読み)サイメンノブシ

デジタル大辞泉 「西面の武士」の意味・読み・例文・類語

さいめん‐の‐ぶし【西面の武士】

後鳥羽上皇の時、北面武士に加えて置かれ、院の西に勤務した武士。院中警固盗賊追捕ついぶなどに当たった。承久の乱後廃止。西面。にしおもて。→北面の武士

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精選版 日本国語大辞典 「西面の武士」の意味・読み・例文・類語

さいめん【西面】 の=武士(ぶし)[=侍(さぶらい)

  1. 中世、院の御所の西面に伺候して、警固にあたった武士。後鳥羽院の時に設置され、承久の乱以後廃止された。せいめんのぶし。さいめん。にしおもて。〔譬喩尽(1786)〕

にしおもて【西面】 の 武士(ぶし)

  1. 中世、後鳥羽院の時に置かれた、院の御所の西面に伺候して、警固にあたった武士。さいめんの武士。にしおもて。

せいめん【西面】 の 武士(ぶし)

  1. さいめん(西面)の武士

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改訂新版 世界大百科事典 「西面の武士」の意味・わかりやすい解説

西面の武士 (さいめんのぶし)

院司一つで,中世,院の御所の西面に伺候して警固にあたった武士。略して西面ともいう。武勇を好んだ後鳥羽上皇は,白河上皇のとき設けられた〈北面の武士〉に加え,新たに武士の子息などを召し出して西面の武士を創設,上皇直属の武力を強化した。創設の時期は明らかでないが,1205年(元久2)以前らしい。以後,諸記録類に西面の活動として,新日吉社小五月会における流鏑馬(やぶさめ)勤仕,院中での蹴鞠(けまり)奉仕,御幸供奉等が見えている。在京御家人のうちから西面の武士に組織される例も少なくなく,彼らは上皇のはからいによって検非違使等に補任されたりして,関東の御家人でありながら院の私兵化した。承久の乱にあたって北面の武士とともに京方の軍勢の中心をなし,乱後は後藤基清,佐々木広綱,五条有範,大江能範の4人の西面衆が処刑されている。西面の武士は幕府打倒を直接の目的として設置されたとする考えもあるが,根拠薄弱である。承久の乱後は再び置かれることがなかった。
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百科事典マイペディア 「西面の武士」の意味・わかりやすい解説

西面の武士【さいめんのぶし】

院庁の職員の一つ。後鳥羽上皇の時に置かれた,院の西面に伺候(しこう)する武士。院中の警衛,盗賊の追捕(ついぶ)などを行った。承久の乱後廃止。→北面の武士

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「西面の武士」の意味・わかりやすい解説

西面の武士
さいめんのぶし

平安,鎌倉時代,院の警固にあたった武士。「院の西面」とも称する。後鳥羽上皇のとき新設された。従来からおかれていた北面の武士 (院の北面) とともに,院の警衛に任じ,院の西面に伺候した。武勇にすぐれた畿内近国の武士や,在京御家人のなかから任命されたが,幕府が推薦した関東武士の子弟もいた。これら西面の武士は承久の乱の際,院側の有力な武力となったが,院側の敗北によって廃止された。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「西面の武士」の解説

西面の武士
さいめんのぶし

院西面・西面とも。院御所の西面につめたので,こうよばれた。後鳥羽院政下におかれた上皇の直属軍。院司の一つ。四位・五位の官人を含む北面と異なり,鎌倉御家人を中心とする武士からなる。院警固のほか,盗賊の追捕,南都北嶺の強訴に際しても出動した。承久の乱では上皇方の軍事力の中核をなしたが,幕府軍に破られ,乱後は廃止された。

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旺文社日本史事典 三訂版 「西面の武士」の解説

西面の武士
さいめんのぶし

鎌倉前期,後鳥羽上皇により設置された院の警衛のための武士
院司の一つとして,北面の武士に加えて,院の西のおもてに伺候させた。上皇は討幕計画に伴う兵力充実をはかって,武勇にすぐれたものを補したが,承久の乱(1221)後廃止された。

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