親鉄元素(読み)シンテツゲンソ

デジタル大辞泉 「親鉄元素」の意味・読み・例文・類語

しんてつ‐げんそ【親鉄元素】

地球化学的な元素分配における元素分類の一。地球の最深部である内核および外核に富む液相に集まり、酸素硫黄と結合しにくいもの。鉄、コバルトニッケルモリブデン白金など。ノルウェーの鉱物学者V=ゴルトシュミット提唱。→親石元素親銅元素

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百科事典マイペディア 「親鉄元素」の意味・わかりやすい解説

親鉄元素【しんてつげんそ】

V.M.ゴルトシュミットによる元素の地球化学的分配に伴う元素分類法の一族で主として鉄核心に濃集する元素。彼は,地球が1個の融体から冷却して現在に至る進化過程を,溶鉱炉における過程や当時の地球成因論に立脚して考察し,地球は混合しない3層からなっていると推定。最も比重の大きい中心部をなす鉄核心と,これを包む硫化物・酸化物の中間層と,地球表面のケイ酸塩皮殻の3層であるとし,すべての元素がどれかの層に分配されるとした。Fe,Co,Ni,Mo,Pt,Os,Ir,Ru,Rh,Pdなどがある。→親気元素親生元素親石元素親銅元素

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「親鉄元素」の意味・わかりやすい解説

親鉄元素
しんてつげんそ
siderophile element

元素分配の第一段階で、地球の最深層である心核(深さ2900キロメートルから6400キロメートルの中心まで)の金属鉄に富む液相に集まったとみなされる元素。酸素、硫黄(いおう)などと比較的結合しにくく、遊離金属のまま存在するか、または鉄と化合して固溶体をつくりやすいものが多い。たとえば、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウムロジウムパラジウムオスミウムイリジウム、白金、金、ゲルマニウムスズ炭素リンなどが親鉄元素である。

[中原勝儼]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「親鉄元素」の意味・わかりやすい解説

親鉄元素
しんてつげんそ
siderophile element

隕石質の物質が融解して金属相,硫化物相,ケイ酸塩相に分離した仮想的な状態において,金属相 (特に鉄) に取込まれる傾向のある元素。 V.ゴルトシュミットによる元素の性質に関する地球化学的分類 (1922) の一つ。 VIII族元素,金,レニウム,モリブデン,ゲルマニウム,イリジウム,スズ,炭素,リンなどがこれに含まれる。

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化学辞典 第2版 「親鉄元素」の解説

親鉄元素
シンテツゲンソ
siderophile element

地球化学的分配の第一過程において,地球の中心部に集まる元素として分類された.この元素に属するものは,酸素や硫黄との親和力が比較的小さい元素で,そのなかにFe,Ni,Co,Mo,Au,Re,Ru,Os,Rh,Ir,Pd,Ptが含まれる.

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岩石学辞典 「親鉄元素」の解説

親鉄元素

隕石の鉄の相に濃集して産する元素で,おそらく地球の核の部分に産すると推測されるもの.Fe, Ni, Co, P. C. Mo, Ptなどである[Goldschmidt : 1954].

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世界大百科事典(旧版)内の親鉄元素の言及

【元素】より

…残りの陽性元素(M)は,自由エネルギーの大小に応じてM+ケイ酸鉄⇄ケイ酸M+Fe,M+硫化鉄⇄硫化M+Feの反応を起こし,Feより弱い陽性元素はFeによって遊離されて金属鉄相に追い込まれ,硫化物相にはSや非金属元素と同極化合物をつくる元素,および非金属イオン濃度の高いイオン性環境に存在しにくい元素が配分された。この化学平衡関係による地球化学的配分によって,元素は親鉄元素,親銅元素,親石元素,親気元素に分類される(表5参照)。以上のほかに,生物圏に集まる親生元素がある。…

※「親鉄元素」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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