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言語人類学 げんごじんるいがくlinguistic anthropology

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

言語人類学
げんごじんるいがく
linguistic anthropology

人類学的立場から言語学上の知識を統合的に理解しようとするさまざまな研究。人類学的言語学 anthropological linguisticsともいう。主としてフィールドワークによって,言語を社会的・文化的全体の一部としてとらえようとする。特にアメリカインディアン諸語を研究したアメリカの言語学者,人類学者によって進められてきており,世界観は言語によって異なるというサピア=ウォーフの仮説が有名である。言語学が言語の体系を中心に探究されるのに対し,言語人類学の主要なテーマは,言語の機能とそこに内在する認識の体系,コミュニケーションとしての言語使用法などである。親族名称や色彩・生物名称,人称・指示代名詞などについての民俗分類呼ばれる研究も盛んになされてきた。近年は,複数言語の使い分け,異言語の使用者間に生じ母語化するピジン=クレオル語の現象,非言語的表現,文字使用などの研究も行われる。人間は言語によるコミュニケーションを高度に発達させ,言語にその行動,生活における中心的役割をもたせているので,言語の理解は「ヒトとは何か」という問いに重要な手掛りを与えると考えられる。

出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

言語人類学
げんごじんるいがく
linguistic anthropology

文化人類学の一分野で、主としてアメリカで使われる用語。アメリカではもともと、アメリカ・インディアンの文化の研究のためにそれらの言語研究が行われてきたこともあって、文化人類学と言語学との結び付きが強かった。現在でも、ほとんどの大学の人類学部では、言語学的訓練を必須(ひっす)のものとして課している。以前は民族言語学ethnolinguisticsという名称でよばれたこともあり、現在でも置かれる力点の相違によっては、人類学的言語学anthropological linguisticsとよばれることもある。
 この分野の研究対象は、言語と文化一般であるが、具体的には、成分分析などによる親族名称の分析、神話の構造分析、民族分類などがおもなものであった。最近ではこの分野の一部が方法論的に洗練され、認識人類学、象徴人類学とよばれる方向に専門化されつつある。また、社会階級と言語の問題などを主として扱う社会言語学の著しい発展に伴い、社会言語学と言語人類学の間の境界線もかならずしも明確であるとはいいがたくなってきている。これらの主として共時的立場からの研究のほかに、各言語の基礎語彙(ごい)の保有率の観点から民族の分裂時期を探ろうとする言語年代学も、広い意味では言語人類学的研究といえよう。[唐須教光]
『サピア他著、池上嘉彦訳『文化人類学と言語学』(1970・弘文堂) ▽バーリン著、高原脩他訳『言語と文化』(1974・ミネルヴァ書房) ▽ハイムズ著、唐須教光訳『ことばの民族誌』(1979・紀伊國屋書店)』

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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世界大百科事典内の言語人類学の言及

【言語学】より


【境界領域】
 以上述べたものは,主として言語そのものを研究する分野であるが,言語が人間および人間社会のその他の事象と無関係に存在するものではないことから,言語とその他の事象との関係を研究する分野が必要になる。言語と心理との関係,発話行動における心理などを考える〈言語心理学〉,幼児の言語習得過程を研究し,母語教育に役立てようとする〈幼児言語学〉(〈幼児語〉の項を参照)または〈発達言語学〉,言語障害を研究する〈言語障害学〉,母語や外国語の教育方法を研究する〈言語教育学〉(〈言語教育〉の項を参照),などがあり,また,〈言語社会学〉または〈社会言語学〉と呼ばれる分野は,言語の側の差異と人間集団の差異(階層のちがいとか出身地のちがいとか)の関係を多方面にわたって研究し,〈言語人類学〉は,言語の諸事象と文化人類学的諸事象の間の関係を調査・研究する。〈言語社会学〉には,言語政策などを扱う分野(〈言語工学〉とも呼ばれる)もはいり,また,複数の言語が話される国などの問題を扱う言語教育学的研究も含まれる。…

【文化人類学】より

… アメリカ流の文化人類学は,前記したように総合的な人類学の一分科であるうえに,文化人類学自体も一個の総合科学と考えられている。すなわち,文化人類学は一般に,先史考古学,民族学,社会人類学,言語人類学linguistic anthropology,心理人類学psychological anthropologyなどの諸分野からなるとされるのである。こうしたアメリカにおける人類学および文化人類学のあり方は,アメリカ人類学の父と呼ばれるF.ボアズの学問傾向に由来する。…

※「言語人類学」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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