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認識人類学 にんしきじんるいがくcognitive anthropology

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

認識人類学
にんしきじんるいがく
cognitive anthropology

個々の社会がもつ,事物や事象の分類とそれを意味づける体系を研究対象とする人類学の一分野。民俗分類学 folk-taxonomyとも呼ばれる。 1950~60年代にかけて,主としてアメリカで H.C.コンクリン,C.O.フレーク,A.F.ウォラス,D.H.ハイムズ,W.H.グッドイナフらによって確立された。動植物の分類研究 (民族動物学,民族植物学といい,まとめて民族科学 ethno-scienceともいう) に始って,親族名称や病気・霊魂に対する観念など,社会的・宗教的なものへと対象を広げている。研究対象に対し,主観的な内側からの視点をとるのが特徴で,それまで必ずしも明確でなかった,研究者による解釈との区別が厳密になされるようになり,分類の論理的精密化が進んだ。さらに分類体系の変化や実際の行動との関連性も研究テーマとなっている。

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世界大百科事典 第2版の解説

にんしきじんるいがく【認識人類学 cognitive anthropology】

認識人類学は,文化人類学の中の比較的新しい理論的潮流で,1950年代からアメリカを中心に盛んになってきた。個々の民族がもつ分類や意味づけの体系に焦点をあて,行動や出来事に対する解釈を方向づける〈固有のものの見方〉を明らかにしようとする。その方法上の特徴は〈内側の視点insider’s view〉と〈民俗範疇folk category〉の重視という2点に要約される。 1955年にコンクリンH.C.Conklinはミンドロ島(フィリピン)のハヌノー・マンヤン族における植物の分類体系の研究を発表し,その翌年には,グディナフW.H.GoodenoughとラウンズベリーF.G.Lounsburyがそれぞれ独立に,親族名称を,親族関係者が系譜的に配列される意味の(言語の)体系としてとらえ,その内的構造を分析する研究を発表した。

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世界大百科事典内の認識人類学の言及

【文化人類学】より

…それにもかかわらず,この方法が,民族誌資料の収集のうえで,従来の方法を補強する有効な手段として大きな価値をもつことは否定できぬであろう。以上二つの立場は認識人類学cognitive anthropologyの名で総称される。 認識のプロセスを扱ういま一つの立場は,フランスのC.レビ・ストロースに代表される構造主義structuralismeである。…

【文化】より

…言い換えると,文化を〈物的現象,事物,できごと,行動,感情を知覚し,秩序づける固有の体系〉と見る。こういう見方はエスノサイエンスethnoscience,認識人類学などといわれる研究分野を発展させた。この立場の人々は,生物学や自然環境の要因よりも人間の精神活動を重視し,現象を秩序づける〈文化の文法〉の発見に努める。…

【文化人類学】より

…この点はほとんど社会構造の分析にのみ集中したイギリス社会人類学との大きな違いであるが,現在の文化に主たる関心を寄せ,文化の諸部分を全体の脈絡の中で理解しようとする立場は,文化を断片化して扱った前代の民族学との決定的相違であった。
[認識人類学から構造主義へ]
 文化人類学の次の転機は1960年代に訪れる。その兆しはすでに50年代に認められるが,60年代以降急速に文化人類学の新しい主流が形成をみるのである。…

※「認識人類学」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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