デジタル大辞泉
「詮」の意味・読み・例文・類語
せん【詮】
1 なすべき手段、方法。せんかた。
「泣くより外に―がなかったのだろう」〈左千夫・野菊の墓〉
2 効果。価値。かい。ききめ。「後悔しても詮のないことだ」
3 煎じつめたところ。結局。
「申し受くるところの―は、ただ重盛が頸をめされ候へ」〈平家・二〉
4 選択。詮議。
「かやうのまことの―にあひ奉らんものは」〈盛衰記・一〉
5 物事の要点。必須。眼目。
「茶は水が―ぢゃといふが」〈虎寛狂・清水〉
せん【詮】[漢字項目]
[常用漢字] [音]セン(呉)(漢) [訓]かい
物事の道理をつき詰める。「詮議・詮索/所詮」
[名のり]あき・あきら・さと・さとし・とし・とも・のり
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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せん【詮】
- 〘 名詞 〙
- ① あれこれ考えたり行なったりして行きついたところ。つまるところ。結局。所詮。究極。
- [初出の実例]「詮はただ詞に現れぬ余情、姿に見えぬ気色なるべし」(出典:無名抄(1211頃))
- 「まさかの時一方を打破らせ、かなはぬせんには身が馬の先に立て打死させ」(出典:歌舞伎・傾城壬生大念仏(1702)中)
- ② なすべき方法。手段。せん方。
- [初出の実例]「御戸ひらきまいらせんとするに、いかにも開かれさせ給はざりければ、社司ども、せんつきて眠ゐたりける程に」(出典:古今著聞集(1254)一)
- ③ ある行為に値するだけのしるし。かい。
- [初出の実例]「もとよりやさしき花よ月よなどやうの物を、おそろしげによめらんは、何の詮か侍らん」(出典:毎月抄(1219))
- 「義理にそむひては、生きても詮がないほどに」(出典:春鑑抄(1629)義)
- ④ 一大眼目となる大事なところ。よりどころとなるもの。肝要なもの。中心。また、最高のもの。一番。
- [初出の実例]「静縁云、其詞をこそ此哥の詮とは思う給へるに」(出典:無名抄(1211頃))
- 「禅宗には本来の面目を失はぬやうに嗜み、古則を見るが詮(セン)ぢゃと聞えた」(出典:仮名草子・浮世物語(1665頃)四)
- ⑤ えらび。選択。詮議。審議。
- [初出の実例]「加様の実の詮(セン)にあひ奉らん者は、類ひ少なふこそ候らめ」(出典:源平盛衰記(14C前)一)
詮の語誌
「詮」は「説文解字」に「具也」とあり、漢字としては「つぶさに説く」「あきらかにする」「究極の道」等の意をもつ。国語としては、「詮ずる」のように動詞化する一方、名詞として「究極の結果」「究極に達する方法、手段」「肝腎のところ」などの意で用いられるようになった。方法や結果の意では、「詮なし」のように、否定的な意味で用いられている場合が多い。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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