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警察権 けいさつけん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

警察権
けいさつけん

一般統治権のうちに含まれる公権力の一つで,警察作用を行うもの。法律に基づいて警察権が発動される場合,それに関する裁量権の行使に対しては条理上の制限が課せられ,これをこえる警察権の発動は違法となる。警察権の限界を定める原則としては,警察公共の原則 (警察権は,公共の安全秩序の維持に関係しない私生活,私住所,民事関係に発動されてはならない) ,警察責任の原則 (警察権は公共の安全秩序に対する障害またはその危険について責任を有する者以外に対して発動されてはならない) ,警察比例の原則 (警察権の発動は公共の安全秩序の維持のために必要な最小限度にとどめられなければならない) がある。

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デジタル大辞泉の解説

けいさつ‐けん【警察権】

警察機関が公共の秩序維持のため、国民に命令強制してその自由を制限する公権力

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百科事典マイペディアの解説

警察権【けいさつけん】

社会公共の秩序維持のため国民に命令強制を加える公権力。その行使については警察公共の原則(私生活・私住所・民事上の法律関係に関与しないこと),警察責任の原則(故意・過失,自然人・法人の別は問わないが社会公共の秩序に対する障害の発生について責任ある者にのみ発動する),警察比例の原則(警察権の発動は社会公共に対する障害の大きさに比例しなければならず,つねに必要最小限度でなければならない),警察消極の原則(公共の安全と秩序に対する侵害の具体的危険性があるときにそれを除去するためにのみ警察権は発動されるべきである)の4原則(警察権の限界)がある。
→関連項目警察警察処分警察保護

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大辞林 第三版の解説

けいさつけん【警察権】

警察機関が公共の秩序を維持するため、国民に命令・強制をなし、その自由を制限する公権力。その行使は法令に基づき、条理上の限界を守らなければならない。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

警察権
けいさつけん

明治憲法下における警察法理論において構成された概念であって、警察目的のために発動される国家統治権をいう。通常、次のように説明される。
〔1〕「警察権ハ国家統治権ノ一部ニシテ、統治権ガ直接ノ社会目的ノ為(ため)ニ人民ニ対スル命令強制ノ権力トシテ発動スル場合ニ於(おい)テ、其(そ)ノ権力ヲ警察権ト称スルモノニ外ナラズ。」(美濃部達吉(みのべたつきち)『行政法撮要』下)
〔2〕「警察なる活動に於て発動される権力を称して警察権といふ。固(もと)より統治権たる権力に外ならぬ。ただ、統治権が警察の目的の為に発動する、といふ点より観(み)て、之(これ)を警察権といふに過ぎない。」(佐々木惣一(そういち)『警察法概論』)[関根謙一]

警察権の限界

警察権の観念は、「警察権の限界」に関する理論との関係においてのみ意味を有する。「警察権の限界」の理論とは、明治憲法下における「警察の概念」の理論を前提としつつ、(1)明治憲法第9条に規定する警察命令制定権の範囲および内容に関する立法上の基準、(2)警察法令における不確定概念の内容を確定するための法解釈上の基準、および、(3)行政上の裁量理論の警察法分野への適用に関する原則としての基準等の機能を有する法原則に関する理論であった。
 警察権の限界論は、「警察の概念」論を前提としているため、その内容をなす法原則は、一様ではなく、警察概念の構成方法の差異に基づく概念内容の差異に応じて、その法原則の機能および内容に差異が存する。主として明治憲法第9条の規定の解釈との関連において構成された「学問上の警察の概念」を主張する論者は、憲法第9条に規定する警察命令制定権に関する立法上の原則としての機能に力点を置いて、おおむね、(1)消極目的の原則、(2)警察公共の原則、(3)警察責任の原則、および(4)警察比例の原則の4原則が存在する、と主張した。これに対して、警察の概念につき、1875年(明治8)の行政警察規則を基本として「法制上の概念」を構成すべきであると主張する論者は、実定法上の不確定概念の概念内容を確定するための解釈基準としての機能を認識して、(1)警察の合目的性に基づいて生ずる限界としての「警察に対する私生活の自由の原則」、および、(2)警察の手段の必要性に基づいて生ずる限界としての「警察における比例の原則」の2原則を承認するほかは、警察権の限界に関する原則を否定していた。新憲法の施行に伴い、旧憲法および旧行政警察規則が廃止されたため、これらの規定に基づいて構成されていた「学問上の警察の概念」および「法制上の警察の概念」がいずれもその存在の基礎を失うとともに、これらの概念と結合されていた警察権の限界の理論も、その存在根拠を失い、無意味な理論となった。そして、明治憲法下における警察法学上の概念であった「警察権」の概念も、新憲法下における警察法理論においては、その存在の理由を失い、無意味な概念となっている。[関根謙一]

警察権に類似する概念

なお、第二次世界大戦後の法制においても、「警察権」ということばを用いた特殊な例がある。「日米安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定」第17条第10項(a)の規定のなかにある「施設及び区域において警察権を行う権利」との文言がそれである。この場合における「警察権を行う権利」とは、right to policeの訳語であって、「秩序づける権利」ないし「秩序づけのための作用を行う権利」というほどの意味であり、police(動詞)の語を「警察権を行う」と訳したのは、一種の誤訳であろう。またアメリカ憲法学に特有の概念である「ポリス・パワー」を「警察権」と訳すことがあるが、これは、連邦主権に対する州の残余主権として州に留保された権能、または正当な補償を伴う公用収用との対比において、広く公共の衛生、安全、秩序、風紀、労働等の公共の福祉を保護増進するため、正当な補償を行わないで、個人の財産権その他の基本権を制限する政府の権能を意味するものであって、明治憲法下におけるわが国の警察法理論における概念たる「警察権」とは、やや趣(おもむき)を異にする概念である。[関根謙一]

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世界大百科事典内の警察権の言及

【警察】より

…そして東京では若干の変遷を経て81年に復活した警視庁が警察をつかさどり,その他の地方では90年以後警察部が警察をつかさどることとなった。こうして戦前の警察制度はほぼ確立されたが,第2次大戦終了後に旧警察法(1947公布)が制定施行されるまで,日本の警察権(警察作用の根拠となる権力)は,すべて国家の権能として行使された。内閣官制のうえで警察とは,保安警察のことをいい,内務大臣がこれを所轄していた。…

※「警察権」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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