1939年1月,警防団令(勅令)によって新設された,防空と消防のために警防に従事する地域団体。民間の消防組織である消防組と,防空機関として結成されていた防護団を母体として設置された。そのうち防護団は,1932年に東京市の各区で,都市爆撃に備える防空実施機関として設置されたものである。ドイツの住民防衛隊やオーストリアの郷土防衛隊のような自警団体がファシズム運動の一環をになう組織として成長をみたのに対し,日本ではあくまで内務省や軍部の指導による官製の組織として整備されたところに特徴があった。警防団も官製の組織として位置づけられ,地方長官が市町村の申請または職権で設置することとされた。団長,副団長は地方長官が,その他の団員は警察署長が任免した。団の費用は市町村が負担した。警防団員は,〈常に警防精神を錬成し一朝事有るに際しては身を挺して難に赴く覚悟のあるべきこと〉が求められた。勤務にあたっては所定の服装を着用し,出動したときは警察官の点検を受け,持場を離れることは許されなかった。警防団は,それぞれの地域で編成された警防のための組織であるが,戦時体制下においてはむしろ警察補助組織として機能していったのである。戦後の47年5月,消防団令の公布とともに廃止された。
執筆者:芳井 研一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…人口の少ない市町村では同一人物が消防組員と防護団員を兼ねる例が多くなり,さらに指揮系統が異なる状態で業務が重複錯綜したほか,相互の権限の面でも対立する問題が生じた。そこでたび重なる調整の結果,39年の警防団令により消防組と防護団の組織をともに廃止し,〈警防団〉を組織して戦時体制を整えたが,以降は防空のほか火災や水災の面でも大きな役割を果たすことになった。第2次大戦後は防空業務がなくなったこともあって警防団の組織は自然に縮小し,47年の消防団令で廃止され,新たに民主的な〈消防団〉が誕生した。…
※「警防団」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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