貝殻島(読み)カイガラジマ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「貝殻島」の意味・わかりやすい解説

貝殻島
かいがらじま

北海道東部、根室(ねむろ)半島納沙布(のさっぷ)岬沖合い約3.7キロメートルにある小島。歯舞群島(はぼまいぐんとう)中の一島で、もっとも根室半島に近い。納沙布岬との間は珸瑤瑁水道(ごようまいすいどう)によって隔てられる。南南東におどけ島、萌茂尻島(もえもしりじま)が一列に並んで3島の小列島を形づくり、定住者はないが、絶好のコンブ漁場をなす。根室支庁(現、根室振興局)管内の花咲郡歯舞村に属していたが、1959年(昭和34)根室市に編入された。しかし第二次世界大戦後は日本の施政権が及ばず、周辺の島々を含めた海域における漁業の安全操業問題が、長期間日本と旧ソ連との間の課題となってきた。1963年の大日本水産会と旧ソ連政府との取決め以来、貝殻島周辺のコンブ漁は一定期間の出漁が可能になった。

渡辺一夫

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「貝殻島」の意味・わかりやすい解説

貝殻島
かいがらじま

北海道東部,根室半島東端の納沙布岬から東方約 3.4kmの海上にある小島。別称貝殻礁。長径約 100m,短径 60~70m。標高 2.5m。西は珸瑤瑁海峡(ごようまいかいきょう)に臨む。硬い礫岩火成岩で構成され,その上に灯台がある。1945年8月ソビエト連邦の占領下に置かれるまで,根室支庁花咲郡歯舞村 (はぼまいむら) に所属。島の周囲は優れたコンブ漁場のため,1963年より 1976年まで民間の日本=ソ連コンブ採取協定に基づいて,根室市歯舞地区の漁船 330隻が入漁料を納入して毎年コンブを採取していた。1977年日ソ漁業暫定協定締結後は入漁が中止されている。北方領土の一部。

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