北海道東端、根室(ねむろ)半島納沙布(のさっぷ)岬沖合いにある島々。以前は歯舞諸島とよばれていたが、2008年(平成20)に名称が変更された。納沙布岬と色丹(しこたん)島との間に北東―南西方向に連なり、列島状をなす。根室半島との間は珸瑤瑁水道(ごようまいすいどう)、色丹島との間は色丹水道により境される。地質構造上は、色丹島とともに根室半島の延長と考えられている。第二次世界大戦前から根室支庁(現、根室振興局)管内の花咲郡歯舞村を構成し、1959年(昭和34)根室市に編入されたが、戦後は日本の施政権が及ばず、ソ連が支配、ソ連解体後はロシア連邦が支配している。おもな島の面積・人口(1945)を根室半島に近い順にあげると次のとおり。水晶島20平方キロメートル・1075人、秋勇留島(あきゆりとう)5平方キロメートル・95人、勇留島10平方キロメートル・412人、志発島(しぼつとう)45平方キロメートル・1695人、多楽島(たらくとう)20平方キロメートル・1178人。貝殻島(かいがらじま)など他の小島を含む合計面積101平方キロメートル、人口4455人。大半の島は隆起海食台地が発達して低平で、最高点は勇留島の44メートル。各島とも周囲に海食崖(がい)を巡らすが、所により砂浜を挟む。近海はニシン、サケ、カニ、ホッキガイ(ウバガイ)、ホタテガイ、コンブなどの好漁場で、戦前は沿岸に漁村が立地し、夏に漁場に繰り込む漁夫も多かった。ロシアでは、色丹島を含めて小クリル列島(小千島列島)Малая Курильская Гряда/Malaya Kuril'skaya Gryada とよぶ。
[渡辺一夫]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
北海道東部の根室半島と色丹(しこたん)島の間50kmに点在する島々。根室半島と貝殻島灯台との間を珸瑶瑁(ごようまい)水道,色丹島と多楽(たらく)島との間を色丹水道で画する。水晶島・勇留(ゆり)島・秋勇留島,志発(しぼつ)島・多楽島などの11島と岩礁からなり,平坦な台地状を呈する。地名は,根室半島東端部に位置する歯舞村の所管であったことによる。第2次大戦後はロシア(旧ソ連)の施政下にある。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
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