貫首(読み)カンジュ

デジタル大辞泉 「貫首」の意味・読み・例文・類語

かん‐じゅ〔クワン‐〕【貫首/貫主】

《「かんしゅ」とも。貫籍上首の意から》
天台座主ざす異称。のちに、各宗総本山や諸大寺住持にも用いられる。貫長管主
かしらに立つ人。
顔回は―の弟子にて」〈曽我一一
蔵人頭くろうどのとうの異称。かんず。
「―以下いげ怪しみをなし」〈平家・一〉

かん‐ず〔クワン‐〕【貫首/貫主】

かんじゅ(貫首)

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精選版 日本国語大辞典 「貫首」の意味・読み・例文・類語

かん‐じゅクヮン‥【貫首・貫主】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「かんしゅ」とも。もと、貫籍の上首の意 )
  2. かしらだつ人。おもだった人。〔内裏式(833)〕
    1. [初出の実例]「家の貫首として一門の間に楗を排(おしひら)き」(出典海道記(1223頃)木瀬川より竹の下)
    2. [その他の文献]〔孝経注〕
  3. ( 殿上で首座に着席するところから ) 蔵人頭(くろうどのとう)の異称。かんず。
    1. [初出の実例]「昨日納言出立所修理大夫・左兵衛督訪来、又貫首二人・侍従等云云」(出典:小右記‐永延元年(987)二月三日)
  4. 令制での大学寮の諸道得業生(とくぎょうせい)の唐名。貫長。
    1. [初出の実例]「諸道得業生〈先生、貫首〉」(出典:拾芥抄(13‐14C)中)
  5. 一山、一寺の長。転じて、各宗派の総本山や諸大寺の管長住職。官主。管主。貫長。
    1. [初出の実例]「抑(そもそも)我等粟津にゆきむかひて、貫主をうばひとどめ奉るべし」(出典:平家物語(13C前)二)

かん‐ずクヮン‥【貫首・貫主】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「かんす」とも ) =かんじゅ(貫首)
    1. [初出の実例]「貫首 クヮンス」(出典:色葉字類抄(1177‐81))

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「貫首」の解説

貫首
かんじゅ

「かんしゅ・かんず」とも。貫主とも。貫籍(戸籍)で上首の意から転じて,一つの集団で最上席の者をいう。公卿を除く殿上人(てんじょうびと)中の最上席の者である蔵人頭(くろうどのとう)や,諸道得業生(とくごうしょう)が貫首と称される。また一宗一派の上首の意から,天台座主(ざす)や本山・大寺の管長も貫首と称された。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

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