一国の経済における外国貿易の重要度を表す指標をいう。通常は、貿易額(輸出額と輸入額の合計)を国民所得(国内総生産あるいは国民総生産)で割った比で表される。輸出額を国民所得で割った輸出依存度や、輸入額を国民所得で割った輸入依存度で、貿易依存度を表すこともある。なお、商品ごとの輸入依存率というときには、それぞれの商品について輸入額を国内生産額プラス輸入額で割った比を意味する。
貿易依存度は、その国の国土の広さや国民所得の大きさ、経済発展や技術進歩の程度、産業構造、貿易政策のあり方などによって異なるであろう。一般に国土の狭い国では、気候条件や天然資源に偏りがあり、また規模の経済をあらゆる産業で享受するには国内市場だけでは狭すぎるなどの理由から、貿易依存度は高くなる傾向がある。ことに経済発展に伴って消費が多様化すると、そのような傾向が強くなる。オランダやベルギーなどの貿易依存度が高く、アメリカの貿易依存度が低いのは、そのような理由からである。技術進歩は、一方では輸送手段や通信手段の発達に伴う輸送費や取引費用の低廉化によって、貿易依存度を高める要因となるが、他方では天然原料にかわる合成原料の開発を通じて輸入依存度を低下させる効果もある。産業構造の変化については、第三次産業は貿易依存率が低いから、産業構造の高度化は貿易依存度を低くする一因となる。
日本の貿易依存度は、1887~1896年(明治20~29)には平均で9%台であったが、その後しだいに上昇し、1907~1916年(明治40~大正5)には23%台になり、1930~1939年(昭和5~14)には34%台にまで高まった。第二次世界大戦後、貿易依存度は大きく落ち込み、1951~1955年(昭和26~30)には平均で約10%にすぎなかったが、その後回復し、1966~1970年には20%を超え、1981~1985年には平均で23%台になった。しかしその後、ふたたび低下し、1990年(平成2)には16%台、1995年には14%台に落ち込んだ。
[志田 明]
以後、日本の貿易依存度はゆるやかに上昇し、2005年に24.4%、2006年に28.2%、2007年に30.1%、2008年に31.6%となっている。なお、2008年における各国の貿易依存度をみてみると、アメリカは24.3%と低いが、ドイツ72.6%、中国59.2%、韓国92.3%と日本と比べてかなり高くなっている。
[前田拓生]
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(永田雅啓 埼玉大学教授 / 松尾寛 (株)三井物産戦略研究所副所長 / 2007年)
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