軍産複合体[ソビエト連邦](読み)ぐんさんふくごうたい[ソビエトれんぽう]

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

軍産複合体[ソビエト連邦]
ぐんさんふくごうたい[ソビエトれんぽう]

ソ連共産党軍部官僚,軍事産業部門が軍事産業の維持発展のために形成した利益集団の総体。共産党には軍需産業を統括する党中央委員会軍事産業部があり,政府には軍事生産の総合的調整を行う閣僚会議軍事産業委員会があった。また軍事生産に直接関連する省として,航空工業省,通信機器工業省,国防工業省,電子工業省,一般機械製作省,機械製作省,中型機械製作省,無線工業省,造船工業省があった。このほかに民間航空省,工作機械・器具製作工業省,石油精製・石油化学工業省など8省も間接的に軍事生産に関連していた。これらの国防諸産業と国家計画委員会 (→ゴスプラン ) ,国家建設事業委員会 (ゴスストロイ) ,国家科学技術委員会,科学アカデミーなどは,密接な関係を有している。ソ連の軍事産業は,資金,人材,資材などにおいて最大限に優遇され高い生産技術を維持してきたが,ゴルバチョフ政権下で大規模な民需転換が行われることになった。しかし,1991年 12月のソ連崩壊によりほとんど実行されることなく終り,軍産複合体の大きな部分はロシア連邦に引継がれ,依然として産業界,政界で大きな勢力をもっている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android