転運使(読み)テンウンシ(英語表記)zhuǎn yùn shì

デジタル大辞泉 「転運使」の意味・読み・例文・類語

てんうん‐し【転運使】

中国代の地方官名。創設当初は物資運輸をつかさどったが、しだいに権限を拡大し、宋代には辺防刑獄財政などの役もつかさどった。

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精選版 日本国語大辞典 「転運使」の意味・読み・例文・類語

てんうん‐し【転運使】

  1. 〘 名詞 〙 昔、中国の官職名の一つ。唐代に各地財賦を都に運ばせたことからはじまり、その後宋の太宗が各地域に転運使を置いてその地方の利権を統括させた。のち辺防・盗賊・刑訟・銭穀按察などの役をつかさどった。元代に漕運使と改称。〔参天台五台山記(1072‐73)八〕 〔新唐書‐百官志〕

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改訂新版 世界大百科事典 「転運使」の意味・わかりやすい解説

転運使 (てんうんし)
zhuǎn yùn shì

中国の,主として唐・宋時代に置かれた重要な地方官職。隋代大運河開通に伴い,江南の物資と中原の国都を結ぶ漕運が重要になり,その統轄責任者として8世紀半ば転運使が作られた。唐の転運使は漕運を中心とした全国の運輸のほか,塩鉄などの財政も兼務したが,宋になると,新しい大区画の(ろ)の長官として,財政,人事など民政を統轄監督する要職となり,漕司とも呼ばれた。元以後,職務細分化されて消滅する。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「転運使」の意味・わかりやすい解説

転運使
てんうんし
zhuan-yun-shi; chuan-yün-shih

中国,華中,華南の主産物である米穀を,華北へ運搬することを主任務とする唐,宋時代の使官名の一つ。唐の玄宗の開元 22 (734) 年頃おかれた江淮転運使が最初。唐末,五代には一時衰えたが,宋代に中央集権が強化されると,地方最高行政区であるの長官として漕運だけでなく,官僚の監察,刑獄,常平のことも司り,絶大な権力をもつようになった。しかしのちになって提点刑獄公事,提挙常平使 (→提挙常平茶塩司 ) が分離独立するようになって,権限は縮小された。

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旺文社世界史事典 三訂版 「転運使」の解説

転運使
てんうんし

唐代に長江流域から長安への物資の輸送を司った漕運の責任者
安史の乱以後,塩鉄の専売や鋳銭などをも取り扱う財務の要職となり,宋代には地方行政区画である路の長官として,漕司とも呼ばれた。

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世界大百科事典(旧版)内の転運使の言及

【路】より

…宋は国初,唐の(どう)を継承したが,2代太宗のときに路と改称し,行・財政,警察,軍事などの監督区分とした。それぞれの長官を転運使,提点刑獄,経略安撫使などと呼ぶ。最初全国を15路に分け,11世紀末には23路となったが,南宋は15~17路であった。…

※「転運使」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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