都市市街地における日常生活圏の整備,開発,再開発の基本計画単位をさし,アメリカの社会・教育運動家で地域計画研究者であったC.A.ペリーによって1924年に提唱された。ペリーは,都市化による地域環境の悪化と地域社会の崩壊に対処するため,市街地を計画的に小分割して環境条件を高め,地域活動への住民参加を強めることによってコミュニティの再生を図ろうとした。提案された近隣住区の計画諸原則は,1小学校が成立する程度の適正人口規模,周囲幹線道路による住区内部通過交通の排除,中央部への小学校やオープンスペースなど各種公共施設の配置と周辺部への商業施設の配置,各種施設への徒歩距離800m以内,各種施設の管理を行う住民組織の確立などであった。この計画理論は全世界的に大きな反響を呼び,アメリカの郊外住宅地開発,イギリスのニュータウン建設や大都市再開発,日本の団地,ニュータウン建設の基礎理論となった。
執筆者:広原 盛明
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…住宅地空間を都市市街地に位置づけ総合化するには,人口規模などの計画規模に応じ,住宅用地とともに社会施設,公園,道路を具体的な手法を用いて構成する必要がある。すなわち,地域社会を住宅街区,近隣分区,近隣住区,地区,都市といった大きさに応じて計画の構成を行う。現在までの日本の都市構成の単位は,徒歩圏内をめざした人口1万人前後の1小学校を中心とする近隣住区単位が基本とみてよい。…
…アメリカの都市計画で特筆すべきことは,工業化の進展,ビルの高層化,自動車の普及に対応して,高速道路網の整備,地域制zoning(法律または条例によって都市を地域または地区に区分し,敷地規模,および構造物の位置,容積,高さ,形態,用途,建蔽率などを規制する制度)の採用,民間による郊外住宅地の開発規制が進められたことであろう。また,アーサー・ペリーによる1919年の近隣住区論の提唱は有名である。スラム・クリアランスはイギリスでは居住制限法の制定とともに開始されるが,アメリカでは1933年ローズベルト大統領のNIRA政策以後,国民住居法に基づいて本格的に採り上げられることになる。…
※「近隣住区」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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