退座(読み)たいざ

精選版 日本国語大辞典 「退座」の意味・読み・例文・類語

たい‐ざ【退座】

〘名〙
座席を立ってしりぞくこと。退席
※近世紀聞(1875‐81)〈染崎延房〉九「是等の意味を懇(ねんごろ)に宮へ申上よとて静に退座(タイザ)に及ばれたり」
② 特に、鎌倉幕府訴訟制度で、訴訟の当事者訴人・論人)と裁判官が親縁関係にあるとき、その裁判官を訴訟審理の場から退席させること。〔近衛家本追加‐文暦二年(1235)閏六月二一日〕
劇団から隠退すること。また、劇団をやめること。
滑稽本・俄じゃ俄じゃ(1780)「梅幸退座の後は、闇夜に燈を失ひ」

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デジタル大辞泉 「退座」の意味・読み・例文・類語

たい‐ざ【退座】

[名](スル)
その集まりなどの席から去ること。退席。「会議途中退座する」
役者などがその属する一座をやめること。退団
[類語]退出退場退席中座下がる退室離席座を外す席を外す席を蹴る

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改訂新版 世界大百科事典 「退座」の意味・わかりやすい解説

退座 (たいざ)

一般には特定の事由によって,当然列席すべき会議等の座をはずす意。鎌倉幕府の裁判制度では現今の裁判官忌避事項に当たる。1235年(嘉禎1)の規定では,評定のとき退座すべき関係として,祖父母父母,養父母,子孫,養子孫,兄弟,姉妹,婿(姉婿妹婿,孫婿を含む),舅,相舅,伯叔父,甥姪,従父兄弟,小舅,夫(妻が訴訟するとき),烏帽子子をあげる。これが厳密に評定(および引付)会議にのみ適用されるのか,他の手続処理機関にも適用されるか,またこの関係があれば当然に退座するのかなど,不明瞭な点もあるが,少なくも訴訟当事者の一方は相手方と裁判官の間に上記のいずれかの関係があるとき,忌避を請求しえ,承認されたものであろう。この関係は裁判に不公正をもたらすおそれありとして排斥されるのであるから,逆にいえばこれが利害を共通にする親族の範囲と考えられていたことになる。《御成敗式目》に付属の評定衆の起請文にも,親疎による不公正の回避を求める記述がある。
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