翻訳|week
7日ごとにくぎった,時間の人工的単位でそのおのおのに名称をつけて呼ぶものが週である。週の起源はユダヤに始まるが,前2世紀か1世紀のころ,ローマ暦の中で確立された。7日ごとに仕事を中断して神(の業(わざ))をたたえる(その日を安息日と呼ぶ。いまの金曜の日没から土曜の日没)というモーセの律法が,ユダヤの時間の尺度である週を生み,それがキリスト教会の中に入って世界的になった。
週日には占星術から惑星の名がつけられ周期的にかつ連続性が保たれるようになった。そのころは太陽と月も惑星に数えられ,あわせて7惑星を地球から遠い順に並べると,土星,木星,火星,太陽,金星,水星,月となると考えられていた。これら七つが今の順で毎時を支配するとされ,第1日の第1時を土星とすれば第2時は木星,第3時が火星……,第7時が月,第8時が土星で順次進み,第24時は火星,第2日第1時は日(太陽)となる。かくて第3日第1時は月,第4日第1時は火星となる。これら第1時を支配する惑星の名を順に並べると今の七曜の順になる。これらの名称のうち,ローマの神々の名であるマルス(火星),メルクリウス(水星),ユピテル(木星),ウェヌス(金星)が,現在はそれらに相当する北欧神話の神々,テュール,オーディン,トール,フレイヤに置き換えられて曜日の名となっている。週はユダヤでは安息日に始まるとされていたが,キリスト教会に入って日曜日が最初となった。
週は日本には唐を経て9世紀に伝えられたが,それは一種の暦注としてもたらされたもので現在用いている週とは本質的に違う。藤原道長の日記には毎日の曜日が記されていて,これが週が連続的に用いられている最古の記録である。日本で週日制が官庁で採用されたのは1876年4月からである。
日をくぎる方法として中国では旬が使われ,フランス革命の際の共和暦にも10日で日をくぎる方法がとられたが,これらは順序性や連続性から考えて週と同格に扱うべきものではない。
執筆者:内田 正男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
日数7日を単位とした暦法上の周期をいう。週の起源は古く、諸説があり、古代ローマでは8日の週が、古代エジプトでは10日の週が用いられた。バビロニアでは各月の7、14、21、28日を安息日としたといわれる。ユダヤ人は、『旧約聖書』創世記に、神が6日の間に天地を創造し、7日目に休息した、とあることから、7日の週を用い、7日目をサバットとよんで休日とした。このサバットは現在の週日の土曜日に相当する。
週日に日・月と土・木・火・金・水の5惑星の名称がつけられたのはエジプトの占星術による。この時代、日月五星の距離は地球から遠い順に土木火日金水月であると考えられていた。いま、第1日の第1時に土星を、第2時に木星、第3時に火星……第7時に月と配し、第8時はふたたび土星、以下、木、火……と配していくと、第1日第24時は火星に、そして第2日第1時は日が、第3日第1時は月が配されることになる。このエジプトの占星的七曜は土曜日から始まるが、これがユダヤの週日とあわさって、今日のような日曜日から始まるものとなった。
暦法を組み立てている日、月、年はそれぞれ、昼夜、月の満ち欠け、季節の移り変わる太陽の運行という自然の周期であるが、週だけは人工的な周期である。7日間の週が広く用いられるようになったのは、この周期が生活をするうえで適していたためと思われる。
日本への「七曜」の伝来は、空海が中国から伝えたといわれる『宿曜暦』によるとされ、一般の頒暦では、京暦が1672年(寛文12)から記載しており、伊勢(いせ)暦はもうすこし早くから記している。この時代は生活のためというより、吉凶の占いのために用いられた。1873年(明治6)太陽暦が採用され、1876年3月、太政官(だじょうかん)達第27号により「同年四月一日より、日曜休暇、土曜半日休暇」とすることが定められ、公務は従ったが、一般には、たとえば昭和の初めごろには、まだ職人たちがそうであったように10日ごと、あるいは1日と15日を休むといった習慣が長く続いた。
[渡辺敏夫]
『渡辺敏夫著『暦のすべて』(1980・雄山閣出版)』
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