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都市再開発 としさいかいはつurban redevelopment

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

都市再開発
としさいかいはつ
urban redevelopment

現代の市民生活に不適となった既成の都市域を改造し,新しい計画によって生活環境を整備すること。古い市街地をすべてこわすことで,クリアランス clearance,または更新 renewalともいう。建造物の老朽化,不良住宅街などの利用価値の低下したところや,公衆衛生上問題となっている地域を再編成することで,公共事業として実施する。日本や西ヨーロッパ,アメリカでは古くから発達した都市の市街地や第2次世界大戦の際戦災を受けた地域などについて,また終戦後急造された密集地帯にある臨時建造物の撤去,高層化による緑地・道路など公共空間の拡大など,都市の生活環境の改造が全国的に広く行われている。

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世界大百科事典 第2版の解説

としさいかいはつ【都市再開発 urban redevelopment】

都市再開発という言葉は,世界各国の歴史や社会情勢に応じて異なった意味で使われている。またその方法は,それぞれの国の都市発展と制度の特質によって相違するが,各国ともに都市再開発という事業を現代都市計画の主要な命題の一つとして位置づけ推進している点では共通している。都市再開発とは,いったん形成された既成市街地のうち,老朽化したり現代社会の要請に対応できなくなった低水準の部分を対象として,なんらかの公共的な関与をもって実施するところの地区ぐるみの集団的な改良ないしは更新事業のことである。

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大辞林 第三版の解説

としさいかいはつ【都市再開発】

既成市街地において、都市機能の衰退した地区や環境の悪化した地区を再生すること。既存の建物や施設を全面的につくり直すことのほか、修復や保全をもいう。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

都市再開発
としさいかいはつ
urban renewal

都市再開発には狭義・広義の2通りの意味がある。狭義には、建築物の老朽化や公共施設の荒廃化が進み都市環境が極度に悪化している既成市街地、たとえばスラムや不良住宅地区において既存建築物や公共施設を全面的にクリアランス(除去)し、再開発目的にしたがって建築物と公共施設などを一体的に整備することをいう。いわゆる「スクラップ・アンド・ビルド方式」に基づく物的な市街地改造事業のことであり、都市再開発法に基づく市街地再開発事業や住宅地区改良法に基づく住宅地区改良事業などがこれにあたる。
 広義には、1958年にオランダのハーグで行われた都市再開発国際会議の定義がある。これによると、都市再開発は都市環境が悪化した既成市街地を安全で健康的かつ文化的な居住環境に再生させる意味の「都市更新」(アーバン・リニューアル)という包括的なネーミングが採用され、そのなかに「再開発」(リデベロップメント)、「修復」(リハビリテーション)、「保全」(コンサベーション)の三つの内容が含まれるとしている。第1番目の「再開発」は狭義の再開発とほぼ同意義である。第2番目の「修復」とは、都市環境が悪化しつつある既成市街地において、建築物の部分的な建て替えや修理修繕、改造や設備の近代化などにより居住環境を改善することである。第3番目の「保全」とは、建築制限や用途規制、緑地保全などを通して良好な都市環境を維持することである。したがって広義の都市再開発は「既成市街地を対象とした都市計画」とでもいえる幅広い内容を包含している。
 日本の都市再開発は、第二次世界大戦前は関東大震災を契機とする被災市街地の土地区画整理事業および震災スラムの不良住宅地区改良事業としてスタートし、戦後は戦災復興土地区画整理事業に受け継がれた。そして戦後復興が一段落して高度経済成長が始まる1960年(昭和35)から1961年にかけて市街地改造事業、防災建築街区造成事業、住宅地区改良事業等が相次いで創設され、既成市街地における再開発事業手法が整った。さらに高度経済成長の本格化とともに既成市街地の再編による土地の高度利用が課題となり、1969年に都市の立体化を図る都市再開発法が制定された。すなわち当該地区の土地・家屋の権利者が事業組合を組織して、あるいは自治体や公団などの公的機関が事業主体となってすべての建築物を除却して新しいビルを建設し、従前の権利者に相当分の床を移転し、余剰床は権利者以外のテナント(賃借人、出店者)に譲渡もしくは賃貸してその収益を事業費にあてるという仕組みである。
 しかし、スクラップ・アンド・ビルド方式の再開発は都市機能の更新とは裏腹に、ともすれば従前住民の転出をもたらし、地域コミュニティの崩壊を導きやすいこと、経済成長の鈍化とともにテナントの確保と余剰床の売却が困難となり、再開発事業そのものの採算がとれなくなっていることなど、問題がしだいに拡大しつつある。都市の激しい機能転換と高度化が求められた高度経済成長時代が遠くに去ったいま、地区住民の定住条件を確保するための成熟時代の再開発手法が求められている。狭義の都市再開発は広義の都市再開発へ、いまや確実にそのスタンスを移行させている。[広原盛明]
『木村光宏・日端康雄著『ヨーロッパの都市再開発――伝統と創造 人間尊重のまちづくりへの手引き』(1984・学芸出版社) ▽安本典夫著『都市法概説』(2008・法律文化社) ▽国土交通省都市地域整備局市街地整備課監修『都市再開発実務ハンドブック2010』(2010・大成出版社)』

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