酸化バナジウム(読み)さんかバナジウム(英語表記)vanadium oxide

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

酸化バナジウム
さんかバナジウム
vanadium oxide

(1) 酸化バナジウム (II) 。一酸化バナジウムともいう。化学式 VO 。ただし一般には不定比化合物 VOx (x=0.8~1.2) である。金属状粉末結晶 (立方晶系) 。比重 5.55。導電性を示す。加熱すると融解せずに分解する。水に不溶,酸に可溶。 (2) 酸化バナジウム (III) 。三酸化二バナジウムともいう。化学式 V2O3 。黒色粉末結晶 (六方晶系) 。比重 4.84,融点 1970℃。空気中で加熱すると燃える。 (3) 酸化バナジウム (IV) 。二酸化バナジウムともいう。化学式 VO2 。黒青色の粉末結晶 (単斜晶系) 。比重 4.26,融点 1967℃。酸,アルカリに可溶。 (4) 酸化バナジウム (V) 。五酸化二バナジウム,五酸化バナジウムともいう。化学式 V2O5 。赤橙色の粉末 (斜方晶系) 。比重 3.35,融点 690℃,1750℃で分解する。水にわずかに溶ける。酸,アルカリ可溶エチルアルコール不溶。酸化反応の触媒として利用され,接触法による硫酸製造の触媒として重要。

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世界大百科事典 第2版の解説

さんかバナジウム【酸化バナジウム vanadium oxide】

酸化数II,III,IV,Vの化合物が知られている。
[酸化バナジウム(II)]
 化学式VO。金属バナジウムと酸化バナジウム(III)V2O3の計算量混合物を真空中1200~1600℃で長時間加熱して得られる灰色粉末。比重5.76。空気中で熱すると融解せず燃える。水に不溶,酸に可溶。
[酸化バナジウム(III)]
 化学式V2O3。酸化バナジウム(V)V2O5を水素気流中約600℃で還元して得られる黒色粉末。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

酸化バナジウム
さんかばなじうむ
vanadium oxide

バナジウムと酸素の化合物。バナジウムの酸化数が+~+となる各酸化物が知られている。
(1)酸化バナジウム() 化学式VO、式量66.9。金属的で導電性を示す灰色粉末。
(2)酸化バナジウム() 化学式V2O3、式量149.9。酸化バナジウム()を高温度で水素還元して得られる黒色粉末で、組成は不定比である。
(3)酸化バナジウム() 化学式VO2、式量82.9。酸化バナジウム()と酸化バナジウム()の等モル混合物を真空中で赤熱すると得られる黒色ないし暗赤色の粉末。
(4)酸化バナジウム() 化学式V2O5、バナジウムの粉末を空気中で熱すると生ずる橙赤(とうせき)色の結晶で、式量181.9、融点690℃。1750℃で分解し、酸化バナジウム()となる。
 VO以外の酸化物は触媒として使われることが多い。酸化バナジウム()の水和物はバナジン酸ともよばれ、水溶液中ではpHによって異なる各種のイソポリ酸イオンを与える。[岩本振武]

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