酸化ヒ素(読み)さんかヒそ(英語表記)arsenic oxide

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「酸化ヒ素」の解説

酸化ヒ素
さんかヒそ
arsenic oxide

(1) 酸化ヒ素 (III) ,三酸化ヒ素  As2O3(As4O6) 。酸化第一ヒ素,三酸化二ヒ素無水亜ヒ酸ともいう。俗称亜ヒ酸。天然産ヒ石,粉末ヒ石,炉煙,毒餌,鼠毒,蒸皮,毒粉,ヒ霜,譽石などともいわれ,1世紀頃から白ヒとして知られていた。白色ないし無色透明のガラス状無定形塊状物質か結晶性白色粉末で存在する。立方晶系,単斜晶系,無定形の間で多形現象を示す。昇華性。融点は立方晶系 275℃,単斜晶系 315℃,沸点 465℃。猛毒冷水には溶けにくいが,希水酸化ナトリウム溶液には亜ヒ酸ナトリウムとなって溶け,希塩酸には三塩化ヒ素となって溶ける。ヒ素化合物の原料であり,ガラス,エナメル,除草剤などの製造に使われる。獣皮保存剤,殺虫殺鼠剤媒染剤としても用いられる。
(2) 酸化ヒ素 (V) ,五酸化ヒ素  As2O5 。俗称ヒ酸。ヒ酸 H3AsO4加熱脱水するとき生成。無定形塊状ないし粉末。有毒。水によく溶け,本来の意味でのヒ酸を生じる。殺虫剤,除草剤,木材保存剤,ガラスの着色などに使用される。

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日本大百科全書(ニッポニカ)「酸化ヒ素」の解説

酸化ヒ素
さんかひそ
arsenic oxide

ヒ素と酸素の化合物。ヒ素の酸化状態により次のものが知られる。

(1)酸化ヒ素(Ⅲ) 三酸化二ヒ素ともいう。ヒ素と酸素の直接結合により得られる。常温で安定な立方晶系の結晶は、221℃で単斜晶系に転移する。水には溶けにくいが、両性酸化物で酸にもアルカリにも溶ける。水溶液では亜ヒ酸となる。有毒。

(2)酸化ヒ素(Ⅴ) 五酸化二ヒ素ともいう。ヒ素と酸素の直接結合によっては得られず、金属ヒ素または酸化ヒ素(Ⅲ)を濃硝酸で酸化して得られるヒ酸水和物を注意して脱水してつくる。白色無定形粉末。潮解性。熱すると酸素を失って三酸化二ヒ素になる。水に溶けてヒ酸を生じ、アルカリと作用してヒ酸塩をつくる。酸化ヒ素(Ⅲ)に比べ毒性は弱く、遅効性である。水溶液からはAs2O5nH2O(n=1、2、3、4)などが得られる。As2O3とAs2O5の当量混合物を350℃に熱すると無色ガラス状物質としてAs2O4が得られる。

[守永健一・中原勝儼]

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化学辞典 第2版「酸化ヒ素」の解説

酸化ヒ素
サンカヒソ
arsenic oxide

】酸化ヒ素(Ⅲ):As2O3(197.84).三酸化二ヒ素,無水亜ヒ酸ともいう.天然ひ石や硫化鉱物の製錬で生じる煙灰中に存在する.白ヒ,ヒ華などいろいろな名称でよばれている.低温形の立方晶系のものは融点275 ℃.密度3.89 g cm-3.高温形の単斜晶系(転移点221 ℃)のものは融点313 ℃,沸点465 ℃(昇華).密度4.02 g cm-3.気体では800 ℃ 以下ではAs4O6分子とされている.水には常温で2% ほどの濃度に溶け亜ヒ酸水溶液となる.殺虫剤,医薬品,農薬顔料(エメラルドグリーン),染料,脱硫剤,触媒防腐剤,ガラス(脱色)などに用いられる.猛毒で致死量は0.1 g といわれる.[CAS 1327-53-3]【】酸化ヒ素(Ⅴ):As2O5(229.84).五酸化二ヒ素ともいう.ヒ酸の加熱脱水でつくられる.400 ℃ 以上では三酸化二ヒ素と酸素に分解する.潮解性で水に易溶で,水に溶けてヒ酸水溶液となる.ガラス成分に用いられる.有毒.[CAS 1303-28-2]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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