黒銅鉱(読み)コクドウコウ(英語表記)tenorite

デジタル大辞泉 「黒銅鉱」の意味・読み・例文・類語

こく‐どうこう〔‐ドウクワウ〕【黒銅鉱】

酸化物からなる鉱物。黒色不透明。単斜晶系銅鉱床の酸化帯にでき、赤銅鉱自然銅などとともに産する。顔料花火などに用いられる。テノライト

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「黒銅鉱」の意味・わかりやすい解説

黒銅鉱
こくどうこう
tenorite

酸化第二銅の鉱物。類似鉱物なし。a軸方向に扁平(へんぺい)。この方向から見るとシダのような入り組んだ輪郭をもつ単結晶双晶の存在が知られている。各種銅鉱床の酸化帯に産し、また火山昇華物として生成される。原産地イタリアのベスビオ火山のものは後者である。日本では前者に属するものは、愛知県新城(しんしろ)市中宇利(なかうり)鉱山閉山)の正マグマ性鉱床の露頭から、後者のものは東京都大島町三原山から知られる。

 共存鉱物は、赤銅鉱、自然銅、珪(けい)くじゃく石、くじゃく石、藍銅鉱(らんどうこう)など。後者ではアタカマ鉱岩塩などがある。同定は顔料になるような黒色不透明の外観。結晶はやや撓性(とうせい)(たわむ性質)があるが、これを超えるともろい。硫化銅の鉱物より大きな比重英名はイタリア、ナポリ大学の植物学者ミケーレ・テノーレMichele Tenore(1780―1861)にちなむ。

加藤 昭]

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