黒銅鉱(読み)コクドウコウ(その他表記)tenorite

日本大百科全書(ニッポニカ) 「黒銅鉱」の意味・わかりやすい解説

黒銅鉱
こくどうこう
tenorite

酸化第二銅の鉱物。類似鉱物なし。a軸方向に扁平(へんぺい)。この方向から見るとシダのような入り組んだ輪郭をもつ単結晶双晶の存在が知られている。各種銅鉱床の酸化帯に産し、また火山昇華物として生成される。原産地イタリアのベスビオ火山のものは後者である。日本では前者に属するものは、愛知県新城(しんしろ)市中宇利(なかうり)鉱山閉山)の正マグマ性鉱床の露頭から、後者のものは東京都大島町三原山から知られる。

 共存鉱物は、赤銅鉱、自然銅、珪(けい)くじゃく石、くじゃく石、藍銅鉱(らんどうこう)など。後者ではアタカマ鉱岩塩などがある。同定は顔料になるような黒色不透明の外観。結晶はやや撓性(とうせい)(たわむ性質)があるが、これを超えるともろい。硫化銅の鉱物より大きな比重英名はイタリア、ナポリ大学の植物学者ミケーレ・テノーレMichele Tenore(1780―1861)にちなむ。

加藤 昭]


黒銅鉱(データノート)
こくどうこうでーたのーと

黒銅鉱
 英名    tenorite
 化学式   CuO
 少量成分  未報告。非常に純粋
 結晶系   単斜
 硬度    3.5
 比重    6.52
 色     黒,鉄黒,鋼灰。粉末のものは顔料の黒のような感じがする
 光沢    結晶は金属光沢。粉末になると土状
 条痕    黒
 劈開    おそらく一方向には存在している
       (「劈開」の項目を参照)

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

最新 地学事典 「黒銅鉱」の解説

こくどうこう
黒銅鉱

tenorite

化学組成CuOの鉱物。単斜晶系,空間群C2/c,格子定数a0.4685nm, b0.3423, c0.5132, β99.52°, 単位格子中4分子含む。非常に薄い板状結晶が{011}で双晶して羽毛状,樹枝状,星状の集合,また粉状,塊状。黒色,不透明。金属光沢。劈開{011},もろい。硬度3.5,比重6.5。反射光では灰~灰白色,異方性著しく,青~黄灰色。反射率は20~25%。銅鉱床の酸化帯にふつうに産するほか,火山昇華物としてベスビオ火山などにもみられる。日本では伊豆大島の玄武岩溶岩の空隙に立派な結晶が産する。銅鉱床の酸化帯の産地は多い。名称はイタリアの植物学者M.Tenore(1781~1861)にちなむ。かつてはメラコナイトともいった。

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出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報

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