ガス分析(読み)ガスブンセキ(その他表記)gas analysis

デジタル大辞泉 「ガス分析」の意味・読み・例文・類語

ガス‐ぶんせき【ガス分析】

気体物質を対象とする定性分析または定量分析滴定・比色・ガスクロマトグラフィーなどの方法がある。

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精選版 日本国語大辞典 「ガス分析」の意味・読み・例文・類語

ガス‐ぶんせき【ガス分析】

  1. 〘 名詞 〙 気体の組成を調べる化学分析。適定・比色・ガスクロマトグラフィーなどの方法がある。

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改訂新版 世界大百科事典 「ガス分析」の意味・わかりやすい解説

ガス分析 (ガスぶんせき)
gas analysis

気体物質を対象とし,その中に含まれる成分を定性的あるいは定量的に検知する分析法。原理的には対象成分の化学的性質を利用する方法と物理的性質を利用する方法とがある。

 ガスの定性分析とは,試料ガスに含まれている成分が何であるか,あるいは特定の成分が含まれているかどうかを決めることである。簡単な方法としては色や臭気から識別する方法もあるが信頼性が低い。ガス密度の測定,特定の成分とのみ反応して呈色する物質の利用,各種ガスセンサーの利用,ガスクロマトグラフィーにおける保持時間の測定,各種スペクトル(たとえば赤外,紫外あるいは可視スペクトル)から定性する方法などが,それぞれ単独に,あるいは組み合わせて用いられる。ガスクロマトグラフで分離した成分を直接赤外分光光度計や質量分析計に導いてスペクトルを得て定性する方法は,とくに信頼性が高い。

 ガスの定量分析は,試料ガスに含まれている目的成分量を求めることで,次のような種々の方法がある。

(1)溶液吸収法 特定のガスを選択的に吸収する試薬溶液(たとえば水酸化ナトリウム水溶液は二酸化炭素を吸収する)を何種類か用意し,順次試料ガスと接触させてガス体積の減少量を測定し,各成分の体積%を知る方法。これにはヘンペル法,オルザット法などがある。

(2)検知管法 細長いガラス管に対象成分と選択的に反応,呈色する試薬(たとえば硫化水素H2S用には微粒シリカゲル硝酸鉛を担持させたもの)をつめておき,一定体積の試料を吸引導入したときの呈色(H2Sの場合,褐色)した長さから濃度を求める。

(3)滴定法 吸収液に捕集したのち滴定によって目的成分量を求める方法。たとえばアンモニアは,希ホウ酸水溶液に吸収後,希硫酸中和滴定することにより定量できる。

(4)吸光光度法 溶液中での選択的な発色反応を利用して定量する方法。有害ガスを対象にした例が多数ある。

(5)化学発光法 たとえば一酸化窒素NOはオゾンO3と反応する際発光する。そこで試料ガスをO3と混合し,発光強度を測定すればNO濃度が求められる。

(6)電気化学的方法 たとえば二酸化窒素NO2は2NO2+H2O─→HNO2+HNO3,HNO2+H2O2─→HNO3+H2Oの反応で生じた硝酸HNO3を硝酸イオン選択性電極で検出し,NO2濃度を決定できる。このほかに,対象成分を電解質中に吸収したのち電解を行い,電解電流や電圧の測定を行って定量する方法など各種ある。

(7)ガスセンサーの利用 古くから炭鉱のメタンガス検出用に使われている接触燃焼式ガスセンサーは,白金線上に担持した触媒上で可燃性ガスが接触燃焼したときの温度上昇を白金線の電気抵抗の増加として検出する。ほかに,半導体等の電気伝導度変化などから酸素,水(湿度),アルコールなどの濃度測定を行えるセンサーなど種々ある。

(8)紫外,可視あるいは赤外線吸収法 対象成分に特有な吸収波長の光を使って吸光度を測定する方法で,NO,NO2,CO,CO2そのほかの自動計測などで利用されている。

(9)クロマトグラフィー ガスクロマトグラフィー,ガスクロマトグラフ-質量分析法は,ほとんどすべてのガス成分を対象として分析することができる。

(10)その他 屈折率や熱伝導度を測定する方法,質量分析計による方法などがある。

 以上のものは(1)(3)(10)を除き,ppmあるいはそれ以下の濃度まで定量できる例が多い。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ガス分析」の意味・わかりやすい解説

ガス分析
がすぶんせき
gas analysis

気体状態の物質に対して行う化学分析の総称。気体の色、におい、反応性、燃焼性、吸着性、吸収性その他の種々の化学的、物理的性質を利用して気体の定性、定量を行う方法があり、一般に次のような方法が知られている。

〔1〕吸収法 (1)混合気体試料を適当な気体吸収剤で処理して、ある成分だけを選択的に吸収させ容積の吸収減量から成分含有量を知る吸収容積法と、(2)あらかじめ重量を測定しておいた吸収剤に試料気体を吸収させ、その増量から求める吸収重量法とがある。たとえば、水蒸気を含む気体を過塩素酸マグネシウムなどの乾燥剤に通したり、二酸化炭素を含む気体をソーダアスベストのような吸収剤に通して、その重量増加分として水分と二酸化炭素を定量する方法がこれにあたる。

〔2〕燃焼法 可燃性試料に酸素その他を加えて燃焼反応をおこさせ、その際おこる体積変化などから定量する方法である。水素、酸素、炭化水素、窒素酸化物の定量などに広く用いられている。

〔3〕滴定法、比色法 気体試料の一定量を吸収液に通じ、吸収液を滴定し、その滴定量から試料成分の含有量を求めるのが滴定法、吸収液による発色を比色定量するのが比色法である。

〔4〕試験紙法、検知管法 比色法の変形で、試験紙法は発色試薬をしみ込ませた試験紙の変色を、検知管法は発色試薬を吸着させたシリカゲルなどを細いガラス管に詰め、試料気体の通過によるその変色を見る方法で、両者とも微量成分の検出や半定量が簡便迅速に行える点に特長がある。

〔5〕ガスクロマトグラフィー 気体中と、それに接している固体または液体中との間における物質の吸着または分配力を利用して、物質の分離や分析を行う方法。

〔6〕物理的諸方法 密度、粘度、熱伝導度、反応熱、電気的・磁気的・光学的性質などを測定して定量する方法。

 以上のほか、化学反応に伴って発生するガスを目盛り管に集めてその体積を測定するガス容量分析や、検圧計法をも含めて一般にガス分析とよぶこともある。

[高田健夫]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ガス分析」の意味・わかりやすい解説

ガス分析
ガスぶんせき
gas analysis

気体を対象とする化学分析。各種の気体吸収剤とガスをよく混合し,吸収された量を測定して定量を行う吸収法や,メタンなどに適用される燃焼法,目的成分を単離してガスの容積を測定する方法などがある。燃焼法では酸素とガスを混合して放電し,生成する水や二酸化炭素の分析により組成を決定する。微量のガスの検出には,検知管法が便利である。これにはガスと反応して変色する試薬をシリカゲルに吸わせて細いガラス管に詰めたものを使う。気体を通したとき変色層の厚さ (長さ) から問題の成分が定量される。最近では確認,定量を同時に行うガスクロマトグラフィーと質量分析法を組合せたガスマス法が,複雑な組成のガス分析に用いられ,威力を発揮している。これらは自動化が容易で,化学工業などで広く利用されている。

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百科事典マイペディア 「ガス分析」の意味・わかりやすい解説

ガス分析【ガスぶんせき】

気体物質に対して行う化学分析。色,臭気,可燃性,吸着性などから気体の種類を判定する定性分析,密度を測定したり燃焼させ体積を測定してその組成を知る定量分析などを一括していい,ほかに機器を用いる方法としてガスクロマトグラフィーや質量分析法がある。また一般に液体や固体の分析でも最終的に気体の体積を量って定量する場合をもガス分析ということがある。
→関連項目定量分析

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化学辞典 第2版 「ガス分析」の解説

ガス分析
ガスブンセキ
gas analysis

気体物質を対象にして行う分析法の総称.その測定方法により吸収法,燃焼法,試験紙法,検知管法,ガスクロマトグラフィー,質量分析法などの種類がある.

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栄養・生化学辞典 「ガス分析」の解説

ガス分析

 諸種の目的でガスを分析すること.栄養学では酸素の消費量と二酸化炭素の生成量を呼吸試験で求め,エネルギーの生産量を求める実験をいうことがある.

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