英文学者,能楽研究家。大分県の生れ。号は臼川(きゆうせん)。一高を経て,東大英文科卒。法政大学講師,教授を経て,1947年総長となる。早く一高在学中から夏目漱石に師事し,一時は小説も書いたが,のち能楽研究に進む。一方,英文学者として英文学のみならず,ドイツ,フランス,ギリシア文学の研究,紹介にも力を尽くした。能については,金春流シテ方桜間伴馬(ばんま)の至芸の影響や,1909年吉田東伍が《世阿弥十六部集》を公刊したことから能の科学的研究を志し,斬新かつ独創的な研究を発表し続け,新分野を開拓した。その功績を記念して52年に〈野上記念法政大学能楽研究所〉が設立された。著書は多く,新鮮な眼で能の芸術性を分析した《能 研究と発見》(1930)は前人未到の考察で(のち学位論文),《能の再生》(1935),《能の幽玄と花》(1943)を加えた三部作は,能楽美学を構築した記念碑的著作である。謡曲を能の脚本としてとらえた《解註 謡曲全集》(1935-36)は主題の把握と分類に独創性がみられる。《能楽全書》(1942-44)を編修。ほかに《翻訳論》(1938),《クレオパトラ》(1941),《シェバの女王》(1947)などの著書がある。作家の野上弥生子は夫人である。
執筆者:関口 安義+西野 春雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
大正・昭和期の英文学者,能楽研究家 法政大学総長。
出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報
英文学者、能楽研究家。臼川(きゅうせん)と号した。大分県生まれ。1908年(明治41)東京帝国大学英文科卒業。翌年法政大学講師となり、以後昇任して、46年(昭和21)同大学学長、翌年総長に就任。旧制第一高等学校在学中から夏目漱石(そうせき)に師事。ギリシア古典劇から能へと研究対象を進める。宝生新(ほうしょうしん)について下掛(しもがかり)宝生流を稽古(けいこ)。1938年日英交換教授として渡英、以後も能の海外紹介に貢献する。著編書は『能・研究と発見』『能の再生』『能の幽玄と花』『謡曲全集』『能楽全書』ほか多数。没後その遺志を受け、法政大学に野上記念能楽研究所が設立された。作家野上弥生子(やえこ)は夫人。
[小林 責]
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