野口五郎岳(読み)ノグチゴロウダケ

デジタル大辞泉 「野口五郎岳」の意味・読み・例文・類語

のぐちごろう‐だけ〔のぐちゴラウ‐〕【野口五郎岳】

富山県南東部、長野大町市との県境にある山。標高2924メートル。飛騨山脈北アルプス)中央部の高峰の一。山頂南西部に氷食地形のカール圏谷)がある。烏帽子えぼし岳(標高2628メートル)から槍ヶ岳に至る裏銀座縦走路中にあり、登山者が多い。中部山岳国立公園に属する。
[補説]「野口」は長野県大町市の地名。「五郎」は、花崗かこうが風化した岩場を地元で「ゴーロ」とよぶことに由来する。

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日本歴史地名大系 「野口五郎岳」の解説

野口五郎岳
のぐちごろうだけ

大山おおやま町と長野県大町市にまたがり、後立山連峰の南にそびえる。標高二九二四・三メートル。花崗岩の山。信州側で岩石累々たる山をゴロウ(五郎)岳と称し、黒部のゴロウ岳と区別するため野口村(現大町市)の五郎岳の意で野口五郎岳と称した。越中側の古名火打ひうちヶ岳で、元禄一〇年(一六九七)の浮田家の奥山廻記録(富山市郷土博物館蔵)薬師やくし岳より卯の方角にあたると記される。同一三年の奥山御境目見通絵図、同年の立山禅定並後立山黒部谷等絵図(ともに県立図書館蔵)にも火打ヶ嶽を明記。奥山廻役の巡視コースにあたっていたため関係記録にしばしばその名がみえ、新川郡絵図の類にはおおむね記載されている。嘉永二年(一八四九)の佐伯有次郎の日記(同館蔵)では「雰四方に懸り、方角難見極、火打・真砂子之間ニテ道路無之候ニ付、杣頭始、十方ニ暮」と、当山を縦走中ガスに巻かれて苦難したことを生々しく記している。

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改訂新版 世界大百科事典 「野口五郎岳」の意味・わかりやすい解説

野口五郎岳 (のぐちごろうだけ)

飛驒山脈の後立山連峰南部,長野県大町市と富山市との境界に位置する山。標高2924m。山体は中生代白亜紀の花コウ岩で構成される。山頂付近の稜線は比較的なだらかで,森林限界をこえているため風化した白色巨礫の岩海が覆う。この景観をこの地方ではゴーロといい,〈五郎〉の名がついたという。〈野口〉はふもとの大町付近の集落名に由来する。また古くは五六岳とか四五六岳とも呼ばれていた。山頂西側には大型のカール地形がみられ,カール底には五郎池がある。稜線部の登山道は裏銀座縦走路と呼ばれ人気が高く,山頂北側の砂礫地には野口五郎小屋がある。山頂へは高瀬川水系の高瀬ダム付近からブナ立尾根,烏帽子(えぼし)小屋経由のコースが一般的で,山麓から約10時間かかる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「野口五郎岳」の意味・わかりやすい解説

野口五郎岳
のぐちごろうだけ

長野・富山県境にある北アルプス中央部の一峰。標高2924メートル。南に続く三俣蓮華(みつまたれんげ)岳、双六(すごろく)岳、樅沢(もみさわ)岳、槍(やり)ヶ岳などと裏銀座とよばれる縦走路をなす。東側は高瀬渓谷に対し急斜面、西側は黒部渓谷に対して緩斜面をなす。山頂南西部に氷食地形のカールがあって、その谷底に五郎池がある。全山花崗(かこう)岩からなり、山名は、花崗岩が風化して豆粒状になったものを地元でゴーロとよぶことによるといわれる。

[小林寛義]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「野口五郎岳」の意味・わかりやすい解説

野口五郎岳
のぐちごろうだけ

長野県大町市と富山県大山町との境,飛騨山脈の後立山連峰南部にある山。標高 2924m。頂部は花崗岩から成り,西側は圏谷壁をなす。東側は高瀬川の諸支流が刻み,崩壊地の多い傾斜地となっている。山名の由来は,岩のゴロゴロした様子と大町市の集落である野口からきた。北アルプス裏銀座と呼ばれる縦走路の一峰。中部山岳国立公園に属する。

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