金家(読み)カネイエ

デジタル大辞泉 「金家」の意味・読み・例文・類語

かねいえ〔かねいへ〕【金家】

近世初期の鐔工たんこう山城の人。つばに少量の金・銀・銅などを象眼し、絵画風の文様を初めて取り入れた。生没年未詳。

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精選版 日本国語大辞典 「金家」の意味・読み・例文・類語

かねいえかねいへ【金家】

  1. 室町後期の鐔工(たんこう)。山城伏見の人。鐔(つば)に絵画風の文様を高彫りし、色絵象眼をして初めての鐔工専門家とされた。初代と二代がいたといわれる。生没年未詳。

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改訂新版 世界大百科事典 「金家」の意味・わかりやすい解説

金家 (かねいえ)

室町末期ないし桃山時代の鐔(たん)工。山城国伏見に住した。生没年および正確な経歴は不明。鐔に絵画的図柄をとり入れた最初の鐔工で,従前の文様的,図案的な鐔を大きく進歩させた。よく鍛えられた薄手の鉄地に風景や人物を鋤出し彫とし,金,銀,素銅などの色金をごくわずかに象嵌(ぞうがん)して,配色効果をあげた。侘趣の感じられる作品が多い。代表作に〈春日野図鐔〉〈達磨図鐔〉がある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「金家」の意味・わかりやすい解説

金家
かねいえ

生没年不詳。桃山時代の鐔(つば)工。絵風鐔の祖といわれ、鉄地に鋤出(すきだし)高彫りで山水、人物、道釈などを表した作品を残す。わずかに金銀象眼(ぞうがん)を施し、撫角(なでかく)形、木瓜(もっこう)形など多様な形の作風である。銘を「城州伏見(ふしみ)住金家」「山城(やましろ)国伏見住金家」と刻している。金家の製作年代には室町・桃山の2説があるが、伏見住の銘から豊臣(とよとみ)秀吉の伏見築城(1594)以降とみるのが妥当。鐔が刀装金具の一部から独立した美術性をもつに至る初期の名工として名高い。作品に重要文化財の達磨(だるま)図、毘沙門天(びしゃもんてん)図、春日野(かすがの)図、猿猴(えんこう)捕月図がある。

[小笠原信夫]

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百科事典マイペディア 「金家」の意味・わかりやすい解説

金家【かねいえ】

室町末期から桃山時代にかけての山城国伏見在住の鐔工(たんこう)。生没年未詳。絵風鐔の創始者といわれる。山水,仏教説話や中国の故事から取材したものなど,豊富な題材を彫り上げ,金,銀,銅などで色絵象嵌(ぞうがん)して効果をあげた。代表作〈春日野図鐔〉。
→関連項目鐔/鍔

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「金家」の解説

金家 かねいえ

?-? 織豊時代の鐔(たん)工。
山城(京都府)の人。銘は「城州伏見住金家」「山城国伏見住金家」。鐔(つば)にはじめて山水や道釈人物など絵画風の図柄をとりいれ,鋤出(すきだし)高彫りに色金の線象眼をほどこすなど,鐔の意匠,技法に新機軸をうちだした。作品に「春日野図鐔」「達磨図鐔」など。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「金家」の意味・わかりやすい解説

金家
かねいえ

室町時代末期の鐔 (つば) 工。京都伏見に住む。絵風文様鐔の創始者。鉄地薄手の板鐔に人物,山水図などを高肉彫で表わした作品が多い。黄銅,金,銀などで色絵象眼を加え,その配色が巧みである。

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世界大百科事典(旧版)内の金家の言及

【鐔∥鍔】より

…その初期には刀匠自身や甲冑師によって作られた鐔があるが,それらは鉄の板鐔で,小さな透彫(すかしぼり)を加えた程度の素朴な作であった。室町末期から桃山時代にかけて,山城国伏見の地に鐔の専門工として金家が現れ,鐔にはじめて絵画風の文様を表した。ほぼ同じころ尾張に信家がおり,鍛えのよい鉄鐔に,毛彫で文字や草花を巧みに表現した。…

※「金家」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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