金森長近(読み)かなもりながちか

改訂新版 世界大百科事典 「金森長近」の意味・わかりやすい解説

金森長近 (かなもりながちか)
生没年:1524-1608(大永4-慶長13)

安土桃山時代武将。五郎八,飛驒守,兵部卿法印素玄。美濃土岐氏族。大畑定近の子で近江国野洲郡金森に移り,金森氏を称す。織田信長の臣として柴田勝家に属したが,賤ヶ岳(しずがたけ)の戦後豊臣秀吉に仕え,1586年(天正14)飛驒国高山に3万8700石で封ぜられる。小牧・小田原・文禄の役に出陣。1600年(慶長5)の関ヶ原の戦には徳川方に属した。茶人としても有名である。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「金森長近」の意味・わかりやすい解説

金森長近
かなもりながちか
(1524―1608)

安土(あづち)桃山時代の武将。通称五郎八、兵部大輔(ひょうぶたいふ)。土岐(とき)氏の支族大畑定近の子に生まれ、のち近江(おうみ)国(滋賀県)金森村に移り、氏を改めた。早く織田信長に仕えて長篠(ながしの)の戦いに功があった。のち豊臣(とよとみ)秀吉に仕え、1585年(天正13)飛騨(ひだ)の三木(みつき)氏を滅ぼし飛騨3万8000余石を得て、高山に城下町を整えた。関ヶ原の戦いには養子可重(ありしげ)とともに徳川家康に従い、上有知(こうずち)(美濃(みの)市)ほか2万3000石を加増され、高山城を可重に譲り、自らは上有知に小倉城を築いて住んだ。素玄(そげん)と号し茶の湯に通じて知られる。慶長(けいちょう)13年8月12日伏見(ふしみ)で没し、大徳寺内金竜院に葬られた。高山市の素玄寺は可重が建てた菩提(ぼだい)寺。

[村瀬円良]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「金森長近」の解説

金森長近 かなもり-ながちか

1524-1608 戦国-江戸時代前期の武将,大名
大永(たいえい)4年生まれ。織田信長,のち豊臣秀吉につかえる。天正(てんしょう)13年秀吉の命をうけて飛騨(ひだ)(岐阜県)の三木(みつき)氏をほろぼし,高山に城をきずく。関ケ原の戦いには徳川家康にしたがい,功により美濃(みの)(岐阜県)上有知(こうずち)など2万3000石を加増されて,飛騨高山藩主金森家初代となる。居城は上有知の小倉城。6万1000石。茶人としても知られた。慶長13年8月12日死去。85歳。美濃出身。本姓は大畑。初名は可近。号は素玄。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「金森長近」の意味・わかりやすい解説

金森長近
かなもりながちか

[生]大永4(1524).近江,金森
[没]慶長13(1608).8.12. 伏見
安土桃山時代の武将。飛騨守定近の子。織田信長に仕えて柴田勝家を寄親として各地に転戦,戦功を立てた。賤ヶ岳の戦いでは秀吉方につき,天正 14 (1586) 年飛騨高山に3万 8000石で入封,関ヶ原の戦いでは徳川方に属した。晩年は,素玄と号し,千利休の門下で茶人としても知られる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の金森長近の言及

【大野[市]】より

…人口4万0245(1995)。現市街は天正年間(1573‐92)金森長近の亀山築城に始まり,1682年(天和2)以後は土井氏4万石の城下町として明治に至った。格子状の町割り,寺町などに旧景観を残している。…

【高山[市]】より

…人口6万6139(1995)。古くは飛驒国府が置かれたといわれるが,金森長近が飛驒全域を支配して城下町を経営して以来,飛驒の政治・経済・交通の中心地となった。その後,幕府直轄地となって陣屋が置かれた。…

【飛驒国】より

…その中からやがて三木氏が伸張して姉小路の名跡と飛驒国司号を継ぎ,織田信長死後は独立権力として運動しはじめる。1582年(天正10)には江馬氏,翌83年には広瀬氏を倒し,三木氏は白川地域の内ヶ島氏を除いてほぼ飛驒全域の覇者となったが,85年豊臣秀吉の派した金森長近の軍に抗戦,敗北した。同年大地震で内ヶ島氏の帰雲城も没落,翌86年には広範な飛驒の小領主連合の蜂起があったが,それも金森氏に鎮圧され,飛驒の中世は終わった。…

※「金森長近」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

《「晋書」杜預伝から》竹が最初の一節を割るとあとは一気に割れるように、勢いが激しくてとどめがたいこと。「破竹の勢いで連戦連勝する」[類語]強い・強力・強大・無敵・最強・力強い・勝負強い・屈強・強豪・強...

破竹の勢いの用語解説を読む