鉄明礬石(読み)てつみょうばんせき(その他表記)jarosite

最新 地学事典 「鉄明礬石」の解説

てつみょうばんせき
鉄明礬石

jarosite

 ジャロサイトとも。明ばん石上族,明ばん石族の鉱物三方晶系,空間群, 格子定数a0.7304nm, c1.7268, 単位格子中3分子含む。厚板状ないし菱面形~擬立方体結晶,塊~土状集合。黄~黄褐褐色,透明~半透明,ガラス~樹脂光沢条痕黄色。劈開{0001}に明瞭。硬度2.5~3.5, 比重3.13。薄片では無~黄褐色,屈折率ω1.815~1.820, ε1.713~1.715, 一軸性負。Kの位置はH3O, Na, NH4, Ca, Ag, Pbなどと,Fe3の位置はAlなどと置換する。特にH3Oのハイドロニウム鉄明ばん石とソーダ鉄明ばん石とは固溶体をつくりやすい。これらの外観はきわめてよく似ている。鉄の硫化物を含む鉱床の酸化帯から各種二次鉱物に伴ってふつうに産するほか,多くの岩石風化によっても簡単に生じる。温泉沈殿物としてもふつう。名称は原産地スペインのJaroso渓谷に由来。

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参照項目:明礬石上族

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「鉄明礬石」の意味・わかりやすい解説

鉄明礬石
てつみょうばんせき
jarosite

含水硫酸塩鉱物の一つ。各種起源の硫化鉄鉱物の分解産物として産し、また堆積(たいせき)岩の表面に着生するほか、温泉作用など熱水変質産物としても生成される二次鉱物である。まれにある種の熱水鉱脈鉱床の空隙(くうげき)に産する。外観は多く土状あるいは皮膜状であるが、熱水鉱脈中のものは六角板状あるいは立方体に近い菱面体(りょうめんたい)の自形をもつことがある。鉄明礬石を含む明礬石族鉱物は成分変化に富み、銅、鉄、亜鉛、鉛、銀、タリウムヒ素モリブデンなどを含みうるので、鉱床酸化帯のものを定性分析すれば、どのような元素が濃集されたかを知ることができるともいわれている。

 群馬県草津(くさつ)町では各所に変質産物として産し、長野県茅野(ちの)市諏訪(すわ)鉄山(閉山)や秋田県鳥海山(ちょうかいさん)周辺では一時鉄鉱石として採掘された。また21世紀に入ってからは、火星探査でも、その表面に存在していることが確認された。英名は、最初に詳しい研究が行われた標本の産地スペインのバランコ・デル・ハロソBarranco del Jarosoにちなむ。

[加藤 昭 2017年12月12日]


鉄明礬石(データノート)
てつみょうばんせきでーたのーと

鉄明礬石
 英名    jarosite
 化学式   KFe3+3[(OH)3|(SO4)]2
 少量成分  Na,Ca,Pb,Ag,NH4,Tl,Cu,Zn,Al,As,P,Mo,Te,Se
 結晶系   三方
 硬度    2.5~3.5
 比重    3.13
 色     黄~褐
 光沢    土状、ガラス
 条痕    淡黄
 劈開    一方向に完全
       (「劈開」の項目を参照)
その他   公害物質として重要視されているため(硫酸基が遊離しやすく、その生理的影響がある)、上記のように詳しい少量成分の分析が行われている。また火星の表面物質として重要な役割を担っていることも判明している

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「鉄明礬石」の意味・わかりやすい解説

鉄明礬石
てつみょうばんせき
jarosite

六方晶系,明礬石族の鉱物。 KFe3(SO4)2(OH)6 。硬度 2.5~3.5,比重 2.9~3.26。扁平な鱗片状や粉末塊状,黄色。硫酸酸性の温泉沈殿の鉱層をつくるか,酸化帯に褐鉄鉱とともに産する。硫酸カリの原料。 (→明礬石 )

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