国鉄の公傷退職者,永年勤続退職者とその家族または遺族,殉職者の遺族を救済する目的で1932年に設立された財団法人。国鉄ではかねて鉄道公傷退職者や殉職者遺族の救済の方途を駅の構内売店に求めることを考えていた。1931年2月東京鉄道局長から鉄道大臣に康済会設立申請書が提出され審議の結果,財団法人組織とすること,設立者鉄道大臣江木翼(たすく)名で鉄道会計から5000円を寄付すること,名称を鉄道弘済会とすることなどがきめられた。その後,鉄道大臣が床次(とこなみ)竹次郎に代わったが,32年2月25日内務,鉄道両大臣の認可を得て設立された。49年から従来の職域社会福祉事業団体としての枠をこえ,一般の社会福祉事業も併せて行うことになった。これらの社会福祉事業の費用は公費のほか,キヨスク(構内売店)を主力とする収益事業の益金をもって充当していた。
国鉄改革にあたり,キヨスクは分割民営化後のJR各社の系列の会社として分離し,これらの資産により一般の社会福祉事業を中心としていくこととなった。
執筆者:清野 嘉雄
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国鉄の公傷退職者、永年勤続退職者とその家族または遺族、殉職者の遺族を救済援護する目的で1932年(昭和7)2月に設立された財団法人。国鉄では鉄道公傷退職者や殉職職員の遺族救済の道を駅構内売店に求める構想をたて、31年2月に東京鉄道局長から江木翼(えぎたすく)鉄道大臣に対し康済会設立申請書が提出された。審議の結果、財団法人による組織とすることになり、名称も鉄道弘済会とすることなどが決められた。その後、床次(とこなみ)竹二郎鉄道大臣の下で、内務・鉄道両大臣の認可を得て設立された。49年(昭和24)からは従来の職域社会福祉事業団体の枠を超え、一般の社会事業もあわせて行うようになり、養護施設、老人ホーム、旅行者援護所などの多方面にわたった。これらの事業費は公費のほか、駅構内での収益事業の益金をもって充当し、売店は73年より国際的な共通語であるキヨスクと呼称するようになった。1987年の国鉄分割・民営化に伴い、キヨスクもJR各社の系列会社として6社に分割された。
[原田勝正]
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