鉱物の採掘,精練に伴って排出される毒物のこと。生産活動をやめた廃坑などから流出する地下水にも多量に含まれている場合もある。二酸化硫黄,フッ化水素,塩素,重金属の微粒子などが気流によって,銅,ヒ素,カドミウムなどが水流によって運ばれる。前者では風向きや風速,粒子の大きさ,地形などによって鉱毒物質の分布が違ってくる。後者では水系を通じて水田や都市用水を汚染させる。瀬戸内海の四阪島や直島の周辺では排煙による二酸化硫黄などで,栃木県の渡良瀬川流域では廃水や洪水による銅で,群馬県の安中では排水と排煙によるカドミウムで被害を受けた。かつては,鉱毒が農水産物に及ぼす被害に注目されていたが,今は,食糧-人間の食物連鎖での鉱毒の移動,蓄積による影響が問題となっている。
→足尾鉱毒事件 →鉱害
執筆者:久保 祐雄
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…自然環境の破壊には,採掘そのものによる破壊と,その結果として起こる周辺の水系における変化によるものとがある。この水に対する影響は,とくに日本のように水田稲作のさかんなところでは重大で,鉱廃水中の銅イオンによる水稲の生育不良が問題となった足尾鉱毒事件,同じく排出水中のカドミウムが原因とされた神通川流域のイタイイタイ病問題などが知られている(〈鉱害〉〈鉱毒〉の項参照)。 なお日本では,鉱山の諸活動は鉱業法,採石法,鉱山保安法等の法律の適用を受けている。…
※「鉱毒」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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