コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

磁石鋼 じしゃくこうmagnet steel

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

磁石鋼
じしゃくこう
magnet steel

永久磁石鋼。は低温のα状態で強磁性で,その合金もフェライト地のものは強磁性を保つが,その磁気ヒステリシス (履歴) は鋼種により変化がある。磁気履歴の高さ (残留磁化) B ,幅 (保磁力) H とも大きいことが磁石鋼の条件で,磁石の性能を (BH) の極大値で表わすことが多い。磁石鋼はすべて硬さが大で,それにはマルテンサイト組織の焼入れ硬化型と,化合物を析出させる析出硬化型がある。高炭素鋼,タングステン,クロム,コバルトなどの合金鋼,KS鋼MT鋼は前者,MK鋼,MKS鋼は後者である。最近は析出硬化型のものが増している。焼入れ型でも析出硬化型でも,最高性能を得るにはデリケートな熱処理を必要とし,鋼種によっては磁場中で冷却する磁冷という特殊な方法をとる。 MKSおよび MK系統の磁石は鍛造ができないのですべて鋳造とするが,他の鋼種は鍛造で成形される。ただし粉末を材料とする酸化物 (フェライト) 磁石または粉末磁石は焼結して成形する。日本は KS鋼,MK鋼などの先駆的業績以来,磁石材料の開発では世界的に高水準を保っている。 (→磁性材料 )

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

大辞林 第三版の解説

じしゃくこう【磁石鋼】

強い磁場によって十分に磁化されると、容易に磁性を失わず、永久磁石の材料になる鋼鉄。炭素鋼・タングステン鋼・ MK 鋼など。

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

磁石鋼
じしゃくこう

鋼とは炭素量が2%以下の鉄合金の総称であることから、鉄を主成分とする永久磁石(合金)にも鋼の名称をつけてよぶことがある。KS鋼(1916)、MK鋼(1932)は磁石鋼の代表例である。前者は鉄‐炭素‐コバルト‐クロム‐タングステン合金であって、炭素を含有する鋼の特徴的な組織である硬いマルテンサイトを利用している。後者は炭素を必要としない鉄‐ニッケル‐アルミニウム合金で、鉄の微粒子(直径約20ナノメートル)がニッケル、アルミニウム中に析出した組織を利用している。それらの磁石鋼は当時としてはもっとも優れた永久磁石として用いられていた。しかし第二次世界大戦後から現在まで、鉄合金以外においても次々とより高性能な磁石が発見された。それらには鋼の名称はつけないし、新しく登場した鉄合金磁石(たとえば、鉄‐クロム‐コバルト磁石合金)でも鋼の名をつけて、たとえばクロム‐コバルト磁石鋼とよばれることはほとんどない。
 なお、永久磁石材料以外にも習慣として「鋼」をつけてよばれる鉄系磁性合金がある。たとえば、電力用の変圧器、モーターなどの磁心材料として用いるケイ素鋼(鉄‐ケイ素合金)、磁石から発生する磁界の温度変化を調節するのに用いる整磁鋼(鉄‐ニッケル合金)である。[本間基文]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

磁石鋼の関連キーワード日本科学史(年表)タングステン鋼恩賜賞受賞者コバルト合金タングステンアルニコ合金本多 光太郎三島 徳七本多光太郎日本科学史合金の析出住友友純集合組織MK 鋼KS 鋼三島徳七愛知製鋼磁気硬度炭素鋼合金鋼