鎮咳薬(読み)チンガイヤク(その他表記)antitussive

翻訳|antitussive

デジタル大辞泉 「鎮咳薬」の意味・読み・例文・類語

ちんがい‐やく【鎮×咳薬】

鎮咳剤」に同じ。

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改訂新版 世界大百科事典 「鎮咳薬」の意味・わかりやすい解説

鎮咳薬 (ちんがいやく)
antitussive

を止める薬で,俗に〈咳止め〉ともいう。咳がおこる機構は複雑であるが,気道内の異物,分泌物,炎症などが気道粘膜を刺激して気管を収縮させるのが咳反射の引金になると考えられる。したがって,咳は気道に入ったほこりなどの異物や粘稠な分泌物を気道から除くのに役立つ生理的な反射であるといえる。しかし連続的な激しい咳のために気道の炎症がさらにひどくなるとか,患者の休息や睡眠が妨げられるような場合には鎮咳薬が有用となる。鎮咳薬は,延髄にある咳反射の中枢(咳中枢)に作用して咳を抑えるもので,麻薬性鎮咳薬と非麻薬性鎮咳薬に大別される。多用されるものとしては,前者に属するものでは,コデインアヘンアルカロイドの一つ),その水素添加誘導体ジヒドロコデインがある。非麻薬性鎮咳薬としては,デキストロメトルファン,チペピジンノスカピンなどがある。コデイン類は麻薬であるが,日本では家庭麻薬製剤という特例を設け1/100以下の含量で配剤することは許されている。一方去痰薬(きよたんやく)は,痰の排出を促進し,気道粘膜に対する刺激をやわらげて咳の発生を抑える。またアドレナリンエフェドリンなどの気管支拡張薬は,気管支筋を弛緩させて内腔を広げ,痰の排出を容易にしたり咳の気流を減速したりして咳を弱める。しかし一般には,これらは鎮咳薬とは別に分類される。
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百科事典マイペディア 「鎮咳薬」の意味・わかりやすい解説

鎮咳薬【ちんがいやく】

咳(せき)止めとも。を止めるのに用いる薬剤延髄咳嗽(がいそう)(せき)中枢を抑制するものにコデイン,ノスカピンなどがある。気道内部に濃稠(のうちゅう)な(たん)がたまり,その刺激で咳が起こるときは,去痰薬によって痰の出を容易にすると鎮咳効果があるので,両者配合剤常用
→関連項目エフェドリン風邪薬杏仁水苦扁桃ノスカピン

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「鎮咳薬」の意味・わかりやすい解説

鎮咳薬
ちんがいやく
cough medicine

咳を鎮静させる薬剤。咳は気道内の異物や過剰分泌物を排除しようとする働きからくるものと,気道粘膜の乾燥,炎症,潰瘍などによって発生するものとがあり,それによって,鎮咳薬の性質も使用法も多少異なる。前者の性質が強い場合は,穏やかな去痰薬程度のもので痰を出やすくしたり,化学療法剤などで去痰をはかる。後者に対しては局所と全身の安静保持を考慮して,抗ヒスタミン剤,鎮静剤,気管支拡張剤,非麻薬系鎮咳薬などを使用し,これらの薬剤で効果を示さないときは,ステロイド,麻薬系のものを使う。

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世界大百科事典(旧版)内の鎮咳薬の言及

【風邪薬】より

…とくに空腹時には,他の配合薬の作用も強く現れるので,胃障害のない人でも風邪薬の服用は避けるべきである。
鎮咳薬
 は本来生体の防衛反応であるから,みだりに抑制すべきではないが,過度の咳は心身を消耗させるので鎮咳(ちんがい)薬を用いる。麻薬性鎮咳薬(コデインなど。…

【咳】より

…百日咳では,しばしば咳のあとの吸気に高いヒューという音がする。
[咳と咳止め]
 咳は本来気道の防御反射であり,鎮咳薬(ちんがいやく)によって,むやみに止めてはならない。咳をおこす原因となっている疾患そのものをまず治療することが原則である。…

※「鎮咳薬」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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