鎮海(読み)ちんかい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「鎮海」の意味・わかりやすい解説

鎮海(中国)
ちんかい / チェンハイ

中国浙江(せっこう)省北東部の沿海、甬江(ようこう)の下流域にある寧波(ニンポー)市の市轄区。人口23万5336(2015)。隋(ずい)代に句章(くしょう)県が置かれ、唐代には(ぼう)県、五代のとき呉越が望海(ぼうかい)県を置き、宋(そう)代に定海(ていかい)県と改められた。清(しん)代には舟山(しゅうざん)群島に定海県(現、舟山市定海区)が置かれたため鎮海県と改められた。宋代以降、西方にある寧波が海外貿易で繁栄し始めると、鎮海はその外港として重視され日本および朝鮮との貿易で栄えた。明(みん)代には倭寇(わこう)の根拠地となったこともある。1985年、寧波市に編入され、その市轄区となった。稲作とワタ作が産業の中心であるが、舟山群島近海の好漁場に近く漁業も盛んである。甬江岸では新石器時代の住居跡が発見されている。

[林 和生・編集部 2017年4月18日]


鎮海(大韓民国)
ちんかい / チンヘ

韓国大韓民国)、慶尚南道南海岸の鎮海湾に位置する都市。1955年邑(ゆう)(町)から市に昇格海軍軍港があり、また観光保養都市として発達している。面積111.66平方キロメートル、人口12万7134(2000)。湾内水深が深く、数十の大艦艇を停泊させることができる。日露戦争のとき、提督東郷平八郎の連合艦隊の根拠地となり、日本海海戦とともに世界的にその名を知られた所である。鎮海化学、韓国P・V・Cなどの工場がある。臨海工業団地がつくられている。

[邢 基 柱]

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改訂新版 世界大百科事典 「鎮海」の意味・わかりやすい解説

鎮海 (ちんかい)
Chinhae

韓国,慶尚南道南部海岸の都市。人口12万7578(2000)。巨済島,加徳島によって風波がさえぎられ,面積が広くしかも深い鎮海湾は天然の良港である。1900年日本が買収,日露戦争時には海軍の集結地となり,その後も軍港として使用した。放射線状道路による計画的な都市建設が進められ,今日も海軍工厰,海軍士官学校などが集中している。韓国海軍の根拠地として軍港都市の性格が濃いが,化学肥料などの工業もみられる。桜並木で有名で,花見客が殺到する。
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百科事典マイペディア 「鎮海」の意味・わかりやすい解説

鎮海(韓国)【ちんかい】

韓国,慶尚南道南部鎮海湾に臨む軍港都市。南に巨済島をひかえ,日露戦争の前後から日本が軍港として発展させた。韓国海軍の本拠地で,統制府,海軍工廠,海軍兵学校などがある。造船・醸造・製紙業が行われる。桜の名所としても有名。15万人(2005)。
→関連項目慶尚南道

鎮海(中国)【ちんかい】

中国,浙江省北東部,甬(よう)江河口左岸の漁港。現在は寧波(ニンポー)市の鎮海区として,その外港となっている。寧波が明州といわれたころには,おもに朝鮮・日本向けの貿易港で,14―16世紀に倭寇(わこう)の基地となったこともある。

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