北海道西南部、渡島(おしま)総合振興局管内にある町。町名はアイヌ語の「オシャマンペ」(ヒラメのいる所)に由来する。1872年(明治5)函館(はこだて)支庁長万部出張所を設置。1943年(昭和18)町制施行。酪農が盛ん。内浦湾に面し漁業も盛んで養殖ホタテガイ、カレイ、マグロなどを漁獲する。長万部駅でJR函館本線と室蘭本線(むろらんほんせん)が分岐する交通の要衝で、鉄道関係従事者が多い。また国道5号、37号、230号も通じ、道央自動車道の国縫(くんぬい)と長万部インターチェンジがある。1955年(昭和30)長万部駅裏に天然ガスと温泉(長万部温泉)が噴出し、これを利用して町営ガス工場、温泉旅館がある。二股(ふたまた)川上流には二股温泉があり、半ドーム状石灰華は道指定の天然記念物である。南部海岸沿いの国縫はシャクシャインの戦いのあった地として知られる。面積310.76平方キロメートル、人口5109(2020)。
[瀬川秀良]
北海道南西部,渡島(おしま)支庁山越郡の町。人口6386(2010)。地名は,アイヌ語の〈シャマンベ(川尻が横になっている所の意味)〉に由来するという説がある。内浦湾(噴火湾)に臨む町域の大半は丘陵地で,平地は海岸沿いに南北に走る。農業は酪農が中心で,漁業はホタテガイ,カレイ,サケ,ケガニの漁獲が多い。JR函館本線の長万部駅は室蘭本線の起点であり,鉄道関係者が多い。また国道5号,37号,道央自動車道が走り,交通の要衝となっている。市街地で天然ガスが噴出し,町営の都市ガスとして利用されている。その副産物として湧出したのが長万部温泉(単純泉,49℃)である。町の北西部の二股温泉(ラジウム泉,50℃)では,温泉華(湯の華)の一種である石灰華のドーム(道の天然記念物)が見られる。
執筆者:奥平 忠志
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…農業は酪農が中心で,漁業はホタテガイ,カレイ,サケ,ケガニの漁獲が多い。函館本線の長万部駅は室蘭本線の起点であり,鉄道関係者が多い。また国道5号,37号,道央自動車道が走り,交通の要衝となっている。…
※「長万部」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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