間食(読み)カンショク

デジタル大辞泉 「間食」の意味・読み・例文・類語

かん‐しょく【間食】

[名](スル)きまった食事と食事との間に物を食べること。あいだぐい。
[類語]間食いおやつ三時軽食おめざヤムチャ点心口直しスナックハイティー

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精選版 日本国語大辞典 「間食」の意味・読み・例文・類語

かん‐しょく【間食】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 昔の二食時代、朝食夕食のほか、激しい労働に従事する者などに支給された食事。けんずい。かんじき
    1. [初出の実例]「其の家室、稲舂女等に間食を充て将(む)として碓屋に入る」(出典日本霊異記(810‐824)上)
  3. 一日三度のきめられた食事の間に物を食べること。また、その食物。あいだぐい。かんじき。
    1. [初出の実例]「此人目を忍んで間食するといふ癖は」(出典:吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉二)

けん‐じき【間食】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「けん」「じき」はそれぞれ「間」「食」の呉音 ) 昔、一日二食であったころ、労働、兵役などに従事したり、公家随従したりする者に、補食として支給する食事。
    1. [初出の実例]「設けし年米を舂く時、其の家室、稲舂女(いなつきめ)等に間食を充て将(む)として碓屋(からうすや)に入る」(出典:日本霊異記(810‐824)上)

あいだ‐ぐいあひだぐひ【間食】

  1. 〘 名詞 〙 食事と食事との間に物を食べること。かんしょく。
    1. [初出の実例]「喰べるといへば奥さんは能く間食(アヒダグヒ)をする人だ」(出典:いたづら小僧日記(1909)〈佐々木邦訳〉)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「間食」の意味・わかりやすい解説

間食
かんしょく

三度の食事以外にものを食べること。おやつ。大人にとってはレクリエーションや社交の意味を兼ねることが多く、子供にとっては三度の食事でとりきれない栄養補給の目的をもつ。

 内容的には、菓子類や果物類のほか、軽い麺(めん)類といったものが一般的だが、子供に対しては、あくまでも三度の食事を補充するという限界にとどめ、とくに夕食に影響しないように配慮したい。間食のために夕食を十分に食べないことがあれば、間食の量を減らすべきである。子供の場合、その発育状態や運動量などによっても異なるが、おおよそ1日の熱量所要量の10~15%ぐらいが適当とされている。

 わが国においては、来客があれば時間に関係なく茶菓の接待をする習慣があり、そのために、子供に対しても時間的制限を与えることが困難になりやすい。子供の要求どおりに菓子類を随時与えてしまうことで、子供たちには欲望を統制する能力が発達せず、わがままにもなる。また、甘い菓子類を多く与えることによって、虫歯が多く発生している事実も見逃せない。なお、今日いう「おやつ」の習慣は江戸時代初期に始まった。昼食と夕食の間の八つ刻(どき)(午後2時に当たる)に、婦人や子どもの間で、おやつといって、菓子や餅などを食べる習慣があったといわれる。

[平井信義]

 古くは日本人の食事は朝・晩2回であったので、昼食は間食であったが、今日では朝・昼・晩の3食が正式の食事となり、その合間に食べるものを間食としている。近畿地方から九州地方にかけてはケンズイといい、中世の記録にもあって、これは間食の呉音である。関東地方から東北地方ではコヂュウハン(小昼飯)、北陸地方ではナカマとよんで、春から秋にかけての農繁期に昼食の前後に食べることにしている。間食は労働によって異なり、居職(いじょく)は軽く、戸外労働は餅(もち)や団子など腹もちのよいものをとるという。本来、職業や季節に応じた、必要なる食事だったのである。

[鎌田久子]

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改訂新版 世界大百科事典 「間食」の意味・わかりやすい解説

間食 (かんしょく)

正式の食事と食事の間にとる食事のこと。その時間や正式の食事との関係で,〈おやつ〉〈おちゃ〉〈こびる〉〈やしょく〉などと呼ぶ。古くから1日2度が正式の食制とされていたため,ふつうは朝食と夕食との間にとる食事をいった。近世に入って朝・昼・夕の1日3度の食事が一般化すると,それ以外に食べるものをいうようになった。これは庶民の労働上の変化が起きたためと考えられる。すなわち,労働量の多さと激しさであり,主として稲作労働が増大したためと考えられる。間食とする食べ物の種類は,茶に漬物,みそ,穀物の粉などがふつうであるが,季節によって果物類が加わったり,労働の種類によって握飯やだんごとなることが多く,冬季の夜食は体のぬくもるものを作っている。これらは労働によって汗とともに排出された塩分の補給という意味もあったが,間食は全体として塩物から甘い物へと変わっている。そしておとなの世界では〈いっぷく〉とか〈ひとやすみ〉という形で現在に引きつがれている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「間食」の意味・わかりやすい解説

間食
かんしょく

決った食事と食事の間に物を食べること。今日では日常の食事は3回であるが,室町時代までは朝夕の2回であった。武士の一人扶持というのも,米2合半を2度,1日5合を標準としていた。2度の食事が回数を増したのは,田植え,稲刈り,旅行,戦争などの激しい労働のために昼食が必要となり,ヒルマ,ヒルゲ,ゴショウなどといって,戸外で食事をとったのが一般化したものである。激しい労働をする人は,昼食のほかにも,昼と夕の間に間食いを要求した。間食いは地方によってハシマ,ケンズイ,コビル,コジュウハンなどと呼ばれている。間食には団子,焼餅,芋類などを食べたが,黄粉をまぶしたり,ほおの葉に包んだ握り飯を食べる場合もあった。このほか夕食後の夜なべ仕事に伴って夜食をとることもあった。都市生活が発達してからは 10時,3時の茶菓子をとる習慣が生れ,最近では食生活における間食の比重が高まっている。

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栄養・生化学辞典 「間食」の解説

間食

 スナックともいう.朝食,昼食,夕食の間にとる軽い食事.子供にとっては三食を補う補食の意味をもつ.

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世界大百科事典(旧版)内の間食の言及

【食事】より

…しかし,目のはなせない家畜相手の労働である牧畜とはちがって,畑しごとのさいには自由に休憩時間を設定することが可能である。そこで,正式の食事のほかに,間食をとる習慣も成立するし,農繁期などにはなん度も間食をとることがおこなわれる。 ヨーロッパでも18世紀までは正式の食事は1日2食であった地方が多いし,日本でも3食が全国民に普及したのは江戸時代になってからのことである。…

【点心】より

…空心(空腹)に点じる意味という。
[中国]
 中国の食事を大きく分けると飯(主食),菜(副食),点心(間食,小食)となる。点心は鹹(かん)点心(塩味),甜(てん)点心(甘味),小食(鹹,甜以外のもの),果物に分類される。…

※「間食」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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