阿高-黒橋貝塚(読み)あだかくろばしかいづか

国指定史跡ガイド 「阿高-黒橋貝塚」の解説

あだかくろばしかいづか【阿高-黒橋貝塚】


熊本県熊本市城南町にある貝塚遺跡。熊本平野の南縁部、木原山の北東山麓の丘陵端、波戸川左岸の標高14mに阿高貝塚、北側の浜戸川右岸、標高3mに黒橋貝塚が所在する。1916年(大正5)の耕地整理事業によって阿高貝塚が発見され、多数の土器石器とともに50体以上におよぶ縄文時代の人骨が確認された。熟年女性には左腕にアカガイ製貝輪2個をはめた例があった。1972年(昭和47)には、豪雨で氾濫した浜戸川の激流によってえぐられた水田面から新たに黒橋地点の貝塚を発見。その後の調査で、両地点が縄文時代中期から後期前半にわたって継続して営まれた一つの遺跡で、時代が下るにつれ、阿高貝塚から黒橋貝塚地点へと中心地がやや移動していることが判明。1980年(昭和55)に国の史跡に指定された。出土遺物には多量の土器があるが、とくに太い沈線で文様が描かれ、縄目文様がない阿高式土器は九州地方における縄文時代中期の標式とされている。貝層中にはマガキハマグリなど37種の貝類及びフグマダイなど15種の魚類のほかイノシシ、シカイヌヘビカエルなどの存在が確認されており、当時の生産や生活事情を知るうえで貴重な遺跡とされている。JR鹿児島本線ほか熊本駅の熊本交通センターから熊本バス「黒橋」下車、徒歩約5分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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