海にすんでいた動物が汽水あるいは淡水の湖沼などに封じ込められた結果,そこで淡水動物として世代を重ねるようになることをいう。甲殻類のアミの仲間は大部分が海産であるが,霞ヶ浦などで漁獲されるイサザアミは湖沼で一生を送る種で,海産系遺存種とも呼ばれる。またサケの仲間のように一生の間に淡水と海の間を往復する魚類のなかには,同種でありながら海へ下って海洋で育つものと,淡水中で一生を過ごして世代を重ねるものとがある。前者を走海型(降海型),後者を陸封型と呼ぶ。一般に陸封型は走海型に比べて小型である。ベニザケは淡水で生まれ,1~2年のあいだ湖で生活したのち海へ下る。本種の陸封型がヒメマスで,日本では阿寒湖とチミケップ湖に,北アメリカではアラスカ,カナダなどの湖に産することが知られているが,十和田湖や中禅寺湖に移殖されたものも有名。琵琶湖に生息し,全国の河川へ放流されるコアユはアユの陸封型である。
執筆者:岩井 保
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