集古十種(読み)シュウコジッシュ

デジタル大辞泉 「集古十種」の意味・読み・例文・類語

しゅうこじっしゅ〔シフコジツシユ〕【集古十種】

江戸時代の古宝物図録集。85巻。松平定信編。谷文晁たにぶんちょうらの画。寛政12年(1800)ごろ成立碑銘鐘銘兵器銅器楽器文房印章扁額肖像古書画の10種、約2000点を模写し、その寸法・特色・所在などを記したもの。

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精選版 日本国語大辞典 「集古十種」の意味・読み・例文・類語

しゅうこじっしゅシフコジッシュ【集古十種】

  1. 古宝物図録集。八五巻。松平定信編。古書画は谷文晁に書写させて木版として刊行。寛政一二年(一八〇〇)、広瀬典の序文があることより、その頃の成立かという。鐘銘・碑銘・兵器・楽器・銅器・法帖古画・印章・扁額・文房の十種約二千点を摸写し、その題記実物の所在・寸法を記録したもの。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「集古十種」の意味・わかりやすい解説

集古十種
しゅうこじっしゅ

松平定信(さだのぶ)編纂(へんさん)の古宝物図録集。定信の好古癖から古器、古画、古書などを模写させていたが、鐘銘、碑銘、兵器、銅器、楽器、文房、扁額(へんがく)、印章、法帖(ほうじょう)、古画の10種について集大成したもの。85巻。1859点収載。儒臣広瀬蒙斎(もうさい)(名は典。1768―1829)が依命執筆した1800年(寛政12)の序があり、成稿年と推定される。玉石混交だが、各宝物の標題、所在、寸法を記述、貴重な考古学資料を含む。刊本に国書刊行会本(1908)があり、後篇(こうへん)32巻は古画肖像部で、松平康民(やすたみ)により着色大型折本として1892年(明治25)刊行された。

石山 洋]

『斎藤忠著『日本考古学史』(1974・吉川弘文館)』

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改訂新版 世界大百科事典 「集古十種」の意味・わかりやすい解説

集古十種 (しゅうこじっしゅ)

松平定信の編纂した古宝物の模写図録集。85巻。1800年(寛政12)正月に刊行された。各地に所在する古宝物を,古画,扁額,文房,法帖,碑銘,鐘銘,銅器,兵器,楽器,印章の10種に分かち,所在地,寸法を記して,模写図を添えている。そのなかには,銅鐸,古墳出土の鏡,古代の金石文などがあり,現時点で,再吟味を要するものが含まれている。
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百科事典マイペディア 「集古十種」の意味・わかりやすい解説

集古十種【しゅうこじっしゅ】

古宝物の木版図集。85巻,1800年刊。松平定信編で,遺品の模写は谷文晁(たにぶんちょう)らが行った。各地に所在する古宝物を碑銘・鐘銘・兵器・銅器・楽器・文房・印章・扁額・肖像・古書画の10種に分け,所在地・寸法などを記し,模写図を添える。続編として《古画類聚(こがるいじゅう)》がある。
→関連項目印譜

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「集古十種」の意味・わかりやすい解説

集古十種
しゅうこじっしゅ

江戸時代の古宝物図録集。 85巻。松平定信編。鐘銘,碑銘,兵器,銅器,楽器,文房,扁額,印章,法帖,古画の 10種について実物を模写し所在や寸法を記したもの。寛政 12 (1800) 年の序文があることから,その頃の成立らしい。続編『古画類従』は未刊。

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世界大百科事典(旧版)内の集古十種の言及

【金石学】より

…しかし日本では宋代の金石学は広まらず,江戸時代に入り《大日本史》が編さんされるころにようやく,歴史が考証的に研究されはじめ,那須国造碑など金石文への注意が払われるようになった。その後,元禄時代以降,鐘銘,碑文などの収集が行われ,松平定信は《集古十種》(1800)を編み,寛政当時の金石・考古資料の集成を試みている。こうした背景のもとに江戸時代後期にいたって,日本の金石学は国学や清朝の考証学の影響下で本格的となった。…

【谷文晁】より

遠近法を採用し,描線は銅版画のそれに倣い,明暗法を多用するなど,西洋画学習の成果がみられる。また96年には定信の命を受け《集古十種》編纂のため,畿内の古社寺に所蔵されている古書画類の調査と模写を行った。このころから精力的に旅をし,多くの文人墨客と交わって知己を得る。…

※「集古十種」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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