デジタル大辞泉
「離す」の意味・読み・例文・類語
はな・す【離す】
[動サ五(四)]
1 くっついているものを解き分ける。「付箋を―・す」「魚の身を骨から―・す」
2 他のものとの間を隔てる。その位置から遠ざける。「席を―・す」「少し―・して植える」「二人の仲を―・す」
3 二つのものの間に隔たりをつくる。間に距離を置く。「二位以下を大きく―・す」「業績で同期生に―・される」
4 (「目をはなす」の形で)視線を別の所に移す。「いたずらっ子なので目が―・せない」
5 除く。はずす。
「コレヲ―・シテワホカニナイ」〈和英語林集成〉
[可能]はなせる
[類語](1)外す・分ける・分かつ・切り離す・分離する・断ち切る/(2)隔てる・遠ざける・隔離する・離隔する
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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はな・す【離・放】
- 〘 他動詞 サ行五(四) 〙
- ① くっついている状態のものを解いて分ける。対象としてとらえているものを解いてはずす。
- [初出の実例]「上つ毛野佐野の舟橋取り波奈之(ハナシ)親は放(さく)れど我は放(さか)るがへ」(出典:万葉集(8C後)一四・三四二〇)
- 「物じゃ、先手をはなせと申てはなさせて、ふところへ手をいれて」(出典:虎明本狂言・茫々頭(室町末‐近世初))
- ② 人や物などを、一定の場所や位置などから遠ざける。
- (イ) 手放す。
- [初出の実例]「いつも御身をはなされぬ、金作りの御帯刀」(出典:幸若・くらま出(室町末‐近世初))
- (ロ) 放置する。遠くへやる。
- [初出の実例]「のちにはなしすてられた北の国の此よりさきはないと云北の国へはなされたぞ」(出典:玉塵抄(1563)六)
- (ハ) 捕えたり、つないで置いたりした動物や罪人などを自由にしてやる。逃がす。
- [初出の実例]「桂の鵜飼が鵜の餌にせんとて、亀を取って殺さんとしけるを、着給へる小袖を脱ぎ、亀に換へ、はなされたりしが」(出典:平家物語(13C前)六)
- ③ 物がある地点から一定の方向に離れていくように、または広がっていくようにする。
- (イ) 矢や弾丸などを発射する。
- [初出の実例]「ヤヲ fanasu(ハナス)」(出典:日葡辞書(1603‐04))
- (ロ) 物を飛び散らす。ふりかける。
- [初出の実例]「よくにすまひて、ゆがうとなどをはなひて、たぶる所で」(出典:虎明本狂言・宗論(室町末‐近世初))
- ④ 除外する。のぞく。
- [初出の実例]「コレヲ hanashitewa(ハナシテワ) ホカニ ナイ」(出典:改正増補和英語林集成(1886))
- ⑤ 気を許す。うちとける。
- [初出の実例]「女郎のつつしむことあり、又放(ハナス)ことあり。遊びなればつつしむことはなきなどといふは非なり。客のつつしむことあり、放ことあり」(出典:洒落本・魂胆惣勘定(1754)中)
- ⑥ ある地点から一定の距離を置く。「一〇メートル離してゴールイン」
- ⑦ はがす。
- [初出の実例]「まことなる物の品々〈略〉ももをつき、ゆびをきり、つめをはなし、なみだにせきあへぬは、しんじちの恋慕なるべし」(出典:仮名草子・尤双紙(1632)下)
- ⑧ 放屁する。
- [初出の実例]「みなみなはききやるまひの、今すいとはなしたが大かたていしゅもしるまひといわれた」(出典:咄本・かの子ばなし(1690)上)
離すの語誌
( 1 )上代には「はなつ」が一般的であるのに対して、「はなす」は東国方言にのみ認められる。
( 2 )鎌倉時代頃から「はなす」の例が増え、室町時代の抄物・キリシタン資料では「はなつ」が「はなす」にほぼ取って代わられた。特に②のような「束縛から解く」意のものがまず「はなす」に移行したらしい。③のような「強い力で遠くへやる」意のものは「はなす」への移行が遅れ、現代でも「はなつ」を用いるのが普通。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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