外す(読み)ハズス

デジタル大辞泉 「外す」の意味・読み・例文・類語

はず・す〔はづす〕【外す】

[動サ五(四)]
取り付けたり、掛けたりしていたものを取って離す。「錠を―・す」「受話器を―・す」
身につけていたものをとる。「ネクタイを―・す」「胸当てを―・す」
取り逃がす。機会などを失う。逸する。「絶好チャンスを―・す」
一時的に、また途中である場所から退いたり離れたりする。「席を―・す」「バッターボックスを―・す」
ある集団任務や予定などから除く。「メンバーから―・す」「担当を―・される」
相手のものをそらして避ける。かわす。「攻撃を―・す」「質問を巧みに―・す」「タイミングを―・したスローボール
ねらいをそらす。「コースを―・す」「的を―・す」
[可能]はずせる
[類語](1取り去る取り除く取り払う取っ払う/(4引きのける離す離れる隔たる遠ざかる遠のく離隔する隔絶する遊離する乖離かいりする分かれる割れる外れる分離離脱分裂分解解体独立分ける分割四分五裂遊離切り離す断ち切るちぎれる張り裂ける/(5去る出るけるあとにする/(6よける避けるいなすかわらすれる外れる受け流す回避忌避敬遠逃避退避退散退去退却避難待避肩透かし

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精選版 日本国語大辞典 「外す」の意味・読み・例文・類語

はず・すはづす【外】

  1. 〘 他動詞 サ行五(四) 〙
  2. 取りつけたり、掛けたりしてあるものを取り去る。はまっている所から抜き出す。取り除く。また、比喩的に、ある人をその位置から追いやる。〔新撰字鏡(898‐901頃)〕
    1. [初出の実例]「箭をはづして火とりて見るに」(出典:宇治拾遺物語(1221頃)一)
  3. つかまえそこなう。とりそこなう。機会などをのがす。また、あやまつ。
    1. [初出の実例]「忍びて御許につかうまつらん。それをさへはづさせ給ふな」(出典:宇津保物語(970‐999頃)国譲上)
    2. 「モウシ fazzusu(ハヅス)」(出典日葡辞書(1603‐04))
  4. ねらいをそらす。矢などを射て、的(まと)と違う方向にそらす。
    1. [初出の実例]「三人ながら召されぬ。試みあるに、大かた一度もはづさず」(出典:宇治拾遺物語(1221頃)七)
  5. 衣服などを身から離す。脱ぐ。「えり巻きをはずす」
    1. [初出の実例]「一方の肩をはづいてふせって居ましたれば」(出典:虎寛本狂言・茶壺(室町末‐近世初))
  6. その場から離れる。席を去る。避ける。よける。また、相手の攻撃、思惑などをかわす。「席をはずす」
    1. [初出の実例]「坊主の曾子が弟子をひきつれてその難をはついたぞ」(出典:玉塵抄(1563)一五)
  7. 品物などをかすめとる。ちょろまかす。
    1. [初出の実例]「豊嶋筵(てしまむしろ)をはづし、はじめて盗心になって行に」(出典:浮世草子・日本永代蔵(1688)二)
  8. 思わず屁(へ)や尿(にょう)をもらす。失禁する。
    1. [初出の実例]「椽先で屁をひとつはづした折ふし」(出典:咄本・軽口腹太鼓(1752)二)
  9. 遊女が、商売気を離れて心から客と情事にふける。とっぱずす。
  10. 琵琶の左手の使い方の一つ。左手のある指で柱を押え、右手の撥(ばち)で弦をかき鳴らしてから、左手の指を柱から離す。
  11. 能・狂言などのうたい方の一つ。曲の拍子や調子を変えたり、わざと型にはまらない節でうたう。また、本来の調子からずれて音を出す。〔わらんべ草(1660)〕
  12. 将棋で、ハンデを付けるために、上位者が駒の一部を取り除く。
    1. [初出の実例]「将棋は何と。そうけいに片香車はづし候」(出典:咄本・軽口あられ酒(1705)五)

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