分ける(読み)ワケル

デジタル大辞泉 「分ける」の意味・読み・例文・類語

わ・ける【分ける/別ける】

[動カ下一][文]わ・く[カ下二]
一つにまとまっているものをいくつかの部分にする。分割する。「ドラマ前半後半に―・ける」「五回に―・けて支払う」「髪を七三しちさんに―・ける」
種類によって区分する。分類する。「子供と大人に―・ける」「大きさによって―・ける」
幾つかに割って与える。分配する。また、一部分を人に与える。「財産を三人の息子に―・ける」「いただき物をお隣に―・ける」
「売る」を婉曲にいう語。「この絵を―・けて下さいませんか」
物を左右に押し開く。「人波を―・けて前に出る」「草の根―・けて捜し出す」
勝負事で、勝負がつかないとして、やめさせる。引き分けにする。「勝負を―・ける」「星を―・ける」
仲裁して、やめさせる。「けんかを―・ける」
[下接句]馬の背を分ける事を分ける血を分ける暖簾のれんを分ける夕立は馬の背を分ける理を分ける
[類語](1分かつ仕切る区切る区分けする区分する分節する区割り小分け細分細別区切り差別けじめ分かち分割する等分する均分する画する離す分かれる割れる離れる外れる分離離脱分裂分解解体独立外す四分五裂遊離隔たる遠ざかる遠のく離隔隔絶乖離かいり切り離す断ち切るちぎれる張り裂ける/(2分類する類別する区別する峻別しゅんべつする区分する分別する仕分けする色分けする組分けする品分けする/(3分かつ配分する分配する分与する案分する折半する山分けする配る

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精選版 日本国語大辞典 「分ける」の意味・読み・例文・類語

わ・ける【分・別】

  1. 〘 他動詞 カ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]わ・く 〘 他動詞 カ行下二段活用 〙
  2. 一つのもの、一面にあるものに力を加えて、左右に押し開く。
    1. [初出の実例]「をみなへし秋萩しのぎさを鹿の露和気(ワケ)鳴かむ高円の野そ」(出典万葉集(8C後)二〇・四二九七)
    2. 「野山、蘆をぎの中をわくるよりほかのことなくて」(出典:更級日記(1059頃))
  3. 別々に区切って分割する。
    1. [初出の実例]「思へども身をしわけねばめかれせぬ雪のつもるぞわが心なる」(出典:伊勢物語(10C前)八五)
    2. 「後の世には同しはちすの座をもわけんと契かはしきこえ給て」(出典:源氏物語(1001‐14頃)御法)
  4. いくつかに分割して配る。分配する。
    1. [初出の実例]「飢(やわ)しと申せば分(ワケ)て給ひし母氏は我は食はねども我子にを給はむとぞ宣ける」(出典:東大寺諷誦文平安初期点(830頃))
    2. 「おのおの物わけて、この男にもあたへてけり」(出典:古今著聞集(1254)一二)
  5. 所属、役割などを別にする。手分けをする。また、ある基準によって分類する。
    1. [初出の実例]「御かたがたもさるべき事どもわけつつ、のぞみつかうまつり給ふ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜上)
    2. 「手をわけてもとめられけれども」(出典:平家物語(13C前)一二)
  6. 物事を判断して見わける。判断して区別する。
    1. [初出の実例]「何れを二王、何れを孫三郎とも分(ワケ)兼たり」(出典:太平記(14C後)九)
  7. 争いごとなどの仲裁や、是非のさばきを行なう。
    1. [初出の実例]「其上にて互の理非をきひてわけう程に、先某にあづけひ」(出典:虎明本狂言・茶壺(室町末‐近世初))
  8. 争っているものを、勝負がつかないとして、やめさせる。引きわける。
    1. [初出の実例]「分られた角力たがひに笑顔持」(出典:雑俳・紀玉川(1819‐25)三)
  9. 道理を説く。訳をよく言ってきかせる。→事(こと)を分(わ)ける
    1. [初出の実例]「コトヲ vaqete(ワケテ) マウセバ」(出典:天草本伊曾保(1593)イソポの生涯の事)
  10. 「売る」を婉曲にいう。
    1. [初出の実例]「少々高くてもいいからわけてくれ」(出典:烈婦!ます女自叙伝(1971)〈井上ひさし〉三)

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