雲隠れ(読み)クモガクレ

デジタル大辞泉 「雲隠れ」の意味・読み・例文・類語

くも‐がくれ【雲隠れ】

[名](スル)
雲の中に隠れること。
姿を隠して見えなくなること。行方をくらますこと。「責任者雲隠れした」
高貴な人が死ぬこと。お隠れになること。
雲隠源氏物語の巻名。巻名のみで本文はなく、主人公光源氏の死を象徴しているといわれる。
[類語]潜伏逃げ隠れ隠れるひそしのもぐまぎれる紛れ込む逃げ込む隠伏する韜晦とうかい身を隠す・身をひそめる・人目を盗む人目を忍ぶ人目を憚る人目を避ける鳴りを潜める

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「雲隠れ」の意味・読み・例文・類語

くも‐がくれ【雲隠】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 雲に隠れること。くもいがくれ。
      1. [初出の実例]「逢ふ事は片われ月の雲がくれおぼろげにやは人の恋しき〈よみ人しらず〉」(出典:拾遺和歌集(1005‐07頃か)恋三・七八四)
    2. 隠れて見えなくなること。人が姿を消すこと。
      1. [初出の実例]「秋の夜の月かも君はくもがくれしばしも見ねばここら恋しき〈柿本人麻呂〉」(出典:拾遺和歌集(1005‐07頃か)恋三・七八五)
      2. 「菅沼さん、何故へ雲がくれしてたのです」(出典:何処へ(1908)〈正宗白鳥〉一三)
    3. 高貴な人の死。
      1. [初出の実例]「雲かくれ 人逝去の事也」(出典:匠材集(1597)三)
    4. 客と縁が切れること。江戸遊女の語。〔随筆・当世武野俗談(1757)〕
  2. [ 2 ] 「源氏物語」の巻名。第四一帖幻に続くとされるが、巻名だけで本文がない。光源氏の死を象徴しているといわれる。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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