紛れる(読み)マギレル

デジタル大辞泉 「紛れる」の意味・読み・例文・類語

まぎ・れる【紛れる】

[動ラ下一][文]まぎ・る[ラ下二]
入りまじって区別がつかなくなる。また、はっきりしなくなる。「人込みに―・れて見失う」「勝負行方が―・れてくる」
似通っていて見分けがつかなくなる。「―・れやすい色」
他と見分けのつかない状況などをうまく利用する。混乱などに乗じる。「騒ぎに―・れて盗みを働く」「夜陰に―・れて逃げる」
他に心が奪われて、本来行うべきことがおろそかになる。「多忙に―・れて返事が遅れる」
他に心が移って、悲しみなどを忘れる。「気が―・れる」
他に差し障りがある。
「舞も見たけれども、けふは―・るる事いできたり」〈平家・一〉
[類語](1しっちゃかめっちゃかはちゃめちゃ乱雑雑然乱脈紛然紛紛繚乱蕪雑ぶざつ狼藉卍巴まんじともえ不統一ごっちゃごちゃまぜごちゃごちゃごしゃごしゃごじゃごじゃごたごためちゃくちゃまぜこぜ支離滅裂かなえの沸くが如し上を下へ蜂の巣をつついたよう押すな押すな押し合いへし合い混乱錯綜錯乱混沌錯雑交錯混線混同混交混迷ごた混ぜどさくさこんがらかる/(5まがう紛らす隠れるひそしのもぐ紛れ込む逃げ込む潜伏せんぷくする隠伏する韜晦とうかいする身を隠す・身をひそめる・人目を盗む人目を忍ぶ人目を憚る人目を避ける逃げ隠れ鳴りを潜める雲隠れ

まぐ・れる【紛れる】

[動ラ下一][文]まぐ・る[ラ下二]道に迷う。
「山なんぞは越さねえでここまで―・れてきたのだあ」〈魯文西洋道中膝栗毛

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「紛れる」の意味・読み・例文・類語

まぎ・れる【紛】

  1. 〘 自動詞 ラ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]まぎ・る 〘 自動詞 ラ行下二段活用 〙
  2. 入りまじる。多くの中に混入してわからなくなる。
    1. [初出の実例]「ある時には、来し方行末も知らず、海にまぎれんとしき」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
  3. 似かよっていて見分けにくいさまになる。
    1. [初出の実例]「紙のいろにさへまぎれて、さらにえみたまへず」(出典:蜻蛉日記(974頃)下)
  4. かくれる。身を隠す。また、まじって判別がつけにくい情況に乗じる。
    1. [初出の実例]「おくれずおひきければ、家をみせじとにやあらん、とくまぎれいきにけるを」(出典:蜻蛉日記(974頃)下)
  5. 人目を忍ぶ。気づかれないようにする。目立たないようにこっそりと行く。
    1. [初出の実例]「け近ければまきれ渡りつつ見奉らせ給ふ」(出典:栄花物語(1028‐92頃)峰の月)
  6. 混雑する。あれこれと忙しく繁雑になる。さしさわりがある。ごたごたする。
    1. [初出の実例]「相撲など、公ごとども、まぎれ侍る比過ぎて、候はむ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)椎本)
  7. 筋道がたたなくなる。混乱する。〔日葡辞書(1603‐04)〕
  8. 他の事に心が散って本来の事がうやむやになる。また、他に心がひかれて、不快や悲しみを忘れる。
    1. [初出の実例]「まぎるることなくて、夜は念仏声ききはじむるより、やがて泣きのみあかさる」(出典:蜻蛉日記(974頃)上)

まぐ・れる【紛】

  1. 〘 自動詞 ラ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]まぐ・る 〘 自動詞 ラ行下二段活用 〙 道に迷う。さまよう。
    1. [初出の実例]「旅烏がまぐれて来たか」(出典:歌舞伎・廓曠着紅葉裲襠(子持高尾)(1873)序幕)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android