デジタル大辞泉
「隠れる」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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かく・れる【隠】
- 〘 自動詞 ラ行下一段活用 〙
[ 文語形 ]かく・る 〘 自動詞 ラ行下二段活用 〙 - ① 物の陰にはいったり、おおわれたりして、しぜんに見えなくなる。かくる。
- [初出の実例]「妹が門(かど)いや遠そきぬ筑波山可久礼(カクレ)ぬ程に袖は振りてな」(出典:万葉集(8C後)一四・三三八九)
- 「汐風真砂を吹上、雨朦朧として鳥海の山かくる」(出典:俳諧・奥の細道(1693‐94頃)象潟)
- ② 人目につかないような所にひそむ。また、逃げて姿を消す。
- [初出の実例]「伏(カクレたる)兵(つはもの)、多(さは)に起り」(出典:日本書紀(720)仁徳即位前(前田本訓))
- 「人の妻(め)のすずろなる物怨(ゑん)じしてかくれたるを」(出典:枕草子(10C終)一二五)
- ③ 世間から離れて山里などに住む。隠遁(いんとん)する。隠居する。また、官職につかないで民間にいる。
- [初出の実例]「是(ここ)を以て、官(おほむつかさ)癈(すたるる)事無く、下(しも)に逸(カクルル)民無し」(出典:日本書紀(720)崇神一二年三月(北野本訓))
- ④ 周囲の状況や他の物の影響などで、ある物事の存在が感じられなくなる。
- [初出の実例]「春の夜のやみはあやなし梅の花色こそ見えね香やはかくるる〈凡河内躬恒〉」(出典:古今和歌集(905‐914)春上・四一)
- ⑤ 比喩的に、大きな力などに守られる。
- [初出の実例]「かうぶりなど得しまで、この御徳にかくれたりしを」(出典:源氏物語(1001‐14頃)関屋)
- ⑥ 死ぬ。多く高貴の人についていう。
- [初出の実例]「矢に中(あた)りて立(たちどころ)に死(カクレぬ)」(出典:日本書紀(720)神代下(水戸本訓))
- 「同廿七日、御年卅八にて遂にかくれさせ給ひぬ」(出典:平家物語(13C前)一)
隠れるの語誌
( 1 )もと四段活用で、奈良時代以前に下二段に転じたものと見られる。同様の変化を見たものに「忘る」「触る」がある。奈良時代におけるこれらの語の四段、下二段の並立に意味的対立を見ようとする説もあるが不明。
( 2 )意味、用法は現代語との隔たりを見いだすことができず、この語が日本語の中でも、きわめて基礎的な語であることを示している。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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