日本大百科全書(ニッポニカ) 「電気用品取締法」の意味・わかりやすい解説
電気用品取締法
でんきようひんとりしまりほう
粗悪な電気用品による危険および障害の発生を防止する目的のため、製造、販売などを規制する消費者保護の法律。1999年(平成11)に全面改正され、法律名も「電気用品安全法」と改称された(2001年施行)。
電気用品取締法においては、電気用品は甲種電気用品と乙種電気用品とに分類されていた。甲種電気用品は、構造または使用法その他の使用状況からみてとくに危険または障害の発生するおそれが多いものであり、乙種電気用品とは甲種以外の電気用品であった。その細目は電気用品取締法施行令に示され、甲乙あわせて約500種の品目が定められていた。電気用品の製造を行う者は通商産業大臣に登録しなければならず、製造設備および試験設備が技術上の基準に適合していなければ登録製造業者となることはできないとされていた。甲種電気用品の製造業者は通商産業大臣に電気用品の型式(かたしき)について認可を受けなければならなかったが(型式認可という。輸入する業者も同様)、乙種電気用品の製造および輸入に関しては比較的危険や障害の少ないものであるから、業者には事業の開始の届出、技術基準の適合命令および表示の義務を課しているにすぎなかった。甲種電気用品には「」のマーク、型式認可番号、製造または輸入業者の名称を、乙種電気用品には「」のマーク(1995年以降は廃止)、製造または輸入業者の名称を表示する義務が課せられていた。
現行の電気用品安全法への改正は、製造業者の登録制を届出制へ、政府認証制度を自己認証制度へ移行するなど、権限を国から民間へ委譲する規制緩和を基本として行われた。
[越野一二]