霊神(読み)れいじん

精選版 日本国語大辞典 「霊神」の意味・読み・例文・類語

れい‐じん【霊神】

〘名〙 (「れいしん」とも)
霊験あらたかな神。御利益のある神。
性霊集‐二(835頃)大和州益田池碑「宛如霊神之埏埴、還疑洪鑪之化産
② その家の父祖を神としてまつるとき、卜部(うらべ)家に願い出て神号の下に付けられる語。
随筆・幕朝故事談(1789‐1801か)「大名、父祖を神に祭る事は、吉田家へ願へば、霊神と号する事なり」

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デジタル大辞泉 「霊神」の意味・読み・例文・類語

れい‐じん【霊神】

《「れいしん」とも》霊験あらたかな神。

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改訂新版 世界大百科事典 「霊神」の意味・わかりやすい解説

霊神 (れいじん)

霊験のあらたかな神,ご利益(りやく)の著しい神をいう。古典の上では,《保元物語》の巻上〈将軍塚鳴動幷びに彗星出づる事〉の段に,石清水(いわしみず)八幡宮賀茂神社日吉大社北野天満宮松尾大社,平野神社,伏見稲荷,八坂神社,住吉大社春日大社,広田神社,広瀬神社,大原野神社などの畿内の神々が,日夜,禁中を守護されていることを述べた条で,たとえ逆臣反乱をおこしても,これらの霊神が必ずお助け下さるとある。また,《平家物語》の巻一〈内裏炎上〉の段の,日吉神輿が洛内に入ったことを述べた条では,もしも霊神がお怒りになったならば災害が頻発するであろうとあり,同じく巻七〈願書〉の段では,願わくは霊神が力を合わせて勝敗を一時に決し,怨を四方へ退かせ給えとある。《太平記》巻二十の〈越後勢越前を越える事〉の段にも,霊神の怒りの威力が述べられている。

 いずれの例も,窮地に陥った際の人々の切実な願いに対して,超自然的・神秘的な力によって著しい験(しるし)を与える神が霊神とみられており,人々が人知をもってはいかんともしがたいような行きづまりを解決する方法は,超自然的な存在によってもたらされると期待してきたことを示すものである。なお,〈〇〇霊神〉と称するのは,家の父祖を神としてまつるときに卜部(うらべ)家に願い出て授与された祀号の一つであり,吉川神道垂加神道にも受け継がれた。
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世界大百科事典(旧版)内の霊神の言及

【生祠】より

…〈尋常ならずすぐれたる徳のありて,可畏き物を迦微(かみ)とは云なり〉という本居宣長の考え方によれば,人間でも優れた資質があれば,神にまつられることになる。人を神にまつると,吉田神道では,これに霊神(れいじん)号を与えた。その生祠を霊社(れいしや)と称している。…

※「霊神」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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