霊菌(読み)れいきん(英語表記)Serratia marcescens

精選版 日本国語大辞典 「霊菌」の意味・読み・例文・類語

れい‐きん【霊菌】

〘名〙 水・牛乳・空気中の塵埃などに多く存在する細菌一つコロニー円形赤色を呈し、人畜植物には無害だが、カイコは死亡させる。菌体がきわめて小さいので細菌濾過器予備試験に用いられる。

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デジタル大辞泉 「霊菌」の意味・読み・例文・類語

れい‐きん【霊菌】

細菌の一種グラム陰性の小形の桿菌かんきんで、鞭毛べんもうをもつ。食品などに生え、真紅色素産生する。

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改訂新版 世界大百科事典 「霊菌」の意味・わかりやすい解説

霊菌 (れいきん)
Serratia marcescens

腸内細菌科のセラチア属に属する細菌の1種。グラム陰性で,好気性ないし通性嫌気性の小型の杆菌。長さ0.7~1.0μm,幅およそ0.7μmで,ほぼ球形に近い。周毛性鞭毛をもち,運動性を有する。病原性はない。色素産生菌であり,真紅の色素プロジギオシンを産生し,培地上に赤色の集落をつくる。霊菌は,自然界に広く分布しており,動物性食品,植物性食品に生える。パンなどのデンプン質の食品上で増殖すると赤い斑点をつくることから,キリストの血のしたたりにみたてて,霊菌と名づけられたという。本菌の色素形成には多くの突然変異株が見いだされており,遺伝生化学の研究材料として利用されている。また,小型であることと集落を認めやすいことから,細菌ろ過器の性能試験にも用いられている。
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百科事典マイペディア 「霊菌」の意味・わかりやすい解説

霊菌【れいきん】

長さ0.7〜1.0μmのグラム陰性短杆(かん)菌で,真紅の色素プロジギオシンを産生。病原性はない。動物性・植物性食品上に増殖し,集落が赤い斑点となる。それはキリストの血がしたたり落ちたためとして,霊菌という名称を得たといわれる。霊菌の色素形成には,多くの突然変異株の存在が認められ,遺伝生化学の研究材料として用いられる。→グラム陰性菌杆菌
→関連項目日和見感染症

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世界大百科事典(旧版)内の霊菌の言及

【菌交代現象】より

… 菌交代現象や菌交代症の発生機序を考えるとき,微生物,宿主(ヒト),薬剤および環境の4因子を検討するのが便利である。微生物すなわち耐性菌は抗生物質の発達に伴い時代とともに当然変化するが,現在ではグラム陰性杆菌,とくに緑膿菌,およびその類縁菌,霊菌,カンジダなどが重視されている。宿主側では,3歳以下および60歳以上により多く,基礎疾患や感染防御力の低下があると起こりやすい。…

※「霊菌」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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