ある一定時間,精神を統一して端坐することをいうが,《吾輩は猫である》に〈儒家にも静坐の工夫と云ふのがある相(そう)だ〉と見えるように,中国宋代に興った新しい儒学(道学)では心の修養法として重視された。道学者によれば,心は静(未発(みはつ))と動(已発(いはつ))の間を揺れ動くが,めまぐるしい現実に対処して心の主体性を喪失しないためには,心の静時におけるその本性の涵養が必須であるとされる。このように現実の動の場を射程に入れたところに,禅家のいう坐禅と決定的な相違がある。これを実践したのは北宋の程子兄弟であるが,やがて李侗(りとう)(延平)をへて南宋の朱熹(しゆき)(子)に継承される。朱熹は静坐の偏重が寂静主義(現実逃避)に陥りやすいのをおもんぱかって〈敬〉を提唱したが,晩年には〈半日静坐,半日読書〉の生活を送った。明の王陽明は〈事上磨練〉によって静坐を止揚した。幕末の儒者楠本端山は,静坐中,線香の灰が香炉に落ちるのを見て,万物一体を悟ったという。
執筆者:三浦 国雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
…道学者の到達した結論は,〈未発〉こそ心の本源であり,ちょうど草木の根をしっかり培養すれば葉が茂り実が成るように,この本源を養えば感情の動きは調和を得,自己の主体性は現実の中に埋没しない,というものだった。その具体的な方法が〈静坐〉にほかならない。程子兄弟をはじめ,楊時,羅従彦,李侗(りとう)などは熱心に静坐を実践している。…
※「静坐」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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