コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

非債弁済 ひさいべんさい

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

非債弁済
ひさいべんさい

債務がないのに弁済として給付すること。このような給付は,債務の存在という法律上の原因を欠くことになるので,弁済者は不当利得として返還請求できるのが原則であるが,民法は弁済者が債務のないことを知りながら給付したときは返還請求できないとした (705条) 。しかし,債務のないことを知っていたとしても,強制執行を受けるおそれがあるとか強迫を受けたとかによって,やむをえず弁済したのであれば,不当利得の返還請求を妨げないと解されている。なお民法は広義の非債弁済として,弁済期前の弁済と錯誤による他人の債務の弁済について規定を設けている (706,707条) 。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典 第2版の解説

ひさいべんさい【非債弁済】

Aが弁済すべき義務を負っていないのに,義務の履行としてBに給付した場合には,Bは,法律上の原因なくしてAの損失において利得したことになり,これを不当利得として返還すべき義務を負う(民法703条以下)。これを広義の非債弁済という。しかし,弁済者Aが,義務のないことを知っていながら義務の履行として弁済した場合には,不合理で無意味なことをしたのであるから,同人は法による保護に値しないことになり,その返還請求は認められない(705条)。

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について 情報

大辞林 第三版の解説

ひさいべんさい【非債弁済】

債務がないのに弁済すること。弁済者が債務のないことを知っていた場合には返還請求ができない。また、期限前の弁済と他人の債務の弁済を含める場合もある。

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

非債弁済
ひさいべんさい

広義には、債務がないのに弁済がなされた場合をいい、弁済者は不当利得として返還請求をなしうるのが原則である(民法703条)。しかし、弁済者が債務のないことを知りつつ弁済した場合には、弁済者は不合理な行為をしたのであるから、返還請求権を認めてこれを保護する必要がない。これを狭義の非債弁済という(同法705条)。狭義の非債弁済として返還請求が否定されるのは、債務が存在しないにもかかわらず、弁済として給付がなされ、しかも、弁済者が、弁済の当時、債務が存在しないことを知りつつこれをなした場合である。ただし、債務の不存在を知りつつ弁済したことに、合理的な理由(たとえば、自分の知らない公正証書により強制執行されるおそれがあって、自由意思によらずに給付した場合とか、賃料不払いを口実に明渡請求訴訟されることを恐れてそのような留保付きで支払った場合など)があれば、返還請求を否定されない。[淡路剛久]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

非債弁済の関連キーワード淡路剛久

今日のキーワード

ムガベ大統領

1924年、英植民地の南ローデシア(現ジンバブエ)生まれ。解放闘争に参加し、80年にジンバブエを独立に導いた。同年から首相、87年から大統領として実権を握り続けた。2000年以降は白人農場主の農園を強...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android