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不当利得 ふとうりとくungerechtfertigte Bereicherung; unjust enrichment

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

不当利得
ふとうりとく
ungerechtfertigte Bereicherung; unjust enrichment

正当な理由 (法律上の原因) なしに他人財産または労務によって財産的利益 (利得) を受け,これによって他人に損失を及ぼすこと (民法 703) 。利得者は損失者に対してみずからの受けた利得の返還義務を負う。その返還義務は当事者の意思表示の効果として生ずるのではなく,さらに人の行為の結果生ずるわけでもない。返還の範囲は,利得者の善意,すなわち法律の原因のないことを知らない場合は,現に利益の存する限度 (現存利益) を損失者に返せばよい (703条) が,悪意の場合は,利得の全部に利息をつけて返さなければならず,さらに損失者に損害があれば,その賠償もしなければならない (704条) 。

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デジタル大辞泉の解説

ふとう‐りとく〔フタウ‐〕【不当利得】

法律上の原因がないのに他人の財産や労務によって利益を受け、そのために他人に損失を与えること。

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百科事典マイペディアの解説

不当利得【ふとうりとく】

法律上の原因なしに他人の損失において利益を受けること(民法703条以下)。債権の発生原因のひとつ。無効な売買契約に基づいて目的物の引渡しを受ける場合など。衡平の理念に基づいて民法はその返還を定める。
→関連項目無効

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世界大百科事典 第2版の解説

ふとうりとく【不当利得】

たとえば,AがBに物を売って引き渡したが,その売買契約がなんらかの理由で無効であったり取り消された場合には,AはBに対して物とその使用利益の返還を請求できる。もしその物の返還が不能となったときには,その時価相当額の返還を請求できる。他方,BはAに対して,その支払った代金と利息相当額の返還を請求できる。また,Aの土地・建物をBが不法占拠して居住した場合には,その使用利益(適正賃料相当額)を,AはBに対して返還請求できる。

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大辞林 第三版の解説

ふとうりとく【不当利得】

法律上の原因がないのに利益を受け、それにより他人に損失を与えること。債権が存在しないのに弁済を受けるのがその例。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

不当利得
ふとうりとく

法律上の原因なしに、他人の財産または労務によって利益を受けていること。利益を受けている者(受益者)は、損失を受けた者に対して、不当利得の返還義務を負う(民法703条)。たとえば、売買契約により買い主が売り主に売買代金の支払いをしたが、売買契約が取り消されて無効になったときは、買い主は売り主に対して、支払いをした売買代金の返還を求めることができる。
 受益者が返還を要する範囲は、法律上の原因のないことを知らなかった受益者(善意の受益者)は、利益が存する限度(現存利益)で返還をすればよい。買い受けた物が自分の物になったと思って取り壊してしまった場合には現存利益はない。もっとも売却代金や賃料として受け取った金銭は、費消しても通常は現存利益となる。これに対して、法律上の原因のないことを知っていた受益者、たとえば売買契約の無効原因を知っていた受益者(悪意の受益者)は、受けた利益に利息を付して返還しなければならないだけでなく、損害の賠償義務も負う(民法704条)。この場合、土地を売却してしまっているときは、売却代金だけでなく、返還時における時価との差額も賠償しなければならないことがある。
 民法第703条の規定が抽象的な表現をとっているため、いかなる場合に不当利得の成立要件を満たすかについては議論が多い。なお、非債弁済(債務が存在しないことを知りながら給付をした場合)、不法原因給付(賭博(とばく)などのように不法な原因に基づいて給付した場合)は保護に値せず、返還請求は認められない(民法705条・708条)。
 個別的な不当利得の特則として、民法第121条但書(制限行為能力者の返還義務の範囲)、第545条(契約解除における原状回復義務)、手形法第85条、小切手法第72条(手形・小切手所持人の利得返還請求権)など多数の規定がある。[伊藤高義]
『内田貴著『民法 第2版 債権各論』(2007・東京大学出版会)』

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