アルマイト(その他表記)alumite

デジタル大辞泉 「アルマイト」の意味・読み・例文・類語

アルマイト

《〈和〉Alumite》アルミニウム陽極として電解により酸化させて、表面酸化アルミニウム耐食性皮膜を作ったもの。大正12年(1923)ごろ、理化学研究所で発明されたときの商標名。米国ではアルミライトドイツではエロクサールなどという。

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精選版 日本国語大辞典 「アルマイト」の意味・読み・例文・類語

アルマイト

  1. 〘 名詞 〙 ( 洋語alumite ) アルミニウム製品の表面に酸化アルミニウム皮膜をつくったもの。大正一二年(一九二三)頃、日本の理化学研究所で発明されたときの商標名。家庭用品などに広く用いられる。
    1. [初出の実例]「アルマイトの洗面器を持ち歩いてゐた」(出典:二閑人交游図(1941)〈上林暁〉四)

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改訂新版 世界大百科事典 「アルマイト」の意味・わかりやすい解説

アルマイト
alumite

アルミニウムおよびその合金陽極酸化して表面に多孔性の皮膜を生成させ,これに封孔処理をして化学的に安定な皮膜を与える金属表面処理法,もしくはこの処理を施された製品をいう。もともとはシュウ酸溶液処理で得られる黄色の自然発色皮膜につけられた登録商標であるが,現在はアルミニウム陽極酸化処理法の代名詞として慣用されている。封孔処理とは,皮膜が多孔性であると耐食性などの表面性質が劣るので,この孔を封ずる処理のことで,加圧水蒸気もしくは少量の薬品を加えた沸騰水による処理が行われる。アルマイトは,装飾のための表面着色,防食のための耐食性の増加,耐摩耗性増加のための硬質アルマイト処理などを目的としており,処理溶液,処理条件,素材の合金成分などの組合せで多種多様な技術が生まれている。とくに硫酸浴処理は,低い電解電圧で直流電解が行えるために消費電力が少なくてすむことや,無色で染色性のよい皮膜が得られるため,現在最も広く応用されている。合金成分および処理条件の選択により着色した陽極皮膜を得る方法電解発色,いったん多孔性皮膜を生成させたのちに金属塩類を含む溶液中で電解的に着色させる方法を電解着色と呼び,いずれも近年日本において大きな発達をみた自主開発技術である。これに対し,多孔性皮膜を染料吸着によって着色する従来の方法をアルマイト着色と呼んで区別する。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アルマイト」の意味・わかりやすい解説

アルマイト
あるまいと
Alumite

アルミニウム上に耐食性に富む陽極酸化皮膜をつけたものの商品名。1923年(大正12)に日本の理化学研究所の鯨井恒太郎(くじらいつねたろう)、植木栄(うえきさかえ)によってシュウ酸法陽極酸化処理が発明されたのが最初である。アルマイトという名称は、このシュウ酸法が工業化されたときにつけられた登録商標であるが、今日では陽極酸化処理によって耐食性酸化皮膜をつけたアルミニウムの代名詞になっている。

 アルミニウムをシュウ酸、硫酸などの酸溶液中で陽極にして電解すると、表面には、多孔質ではあるが電気絶縁性の大きい酸化皮膜が形成される。多孔質の状態の皮膜は防食能力に乏しいので、次に加圧水蒸気中あるいは沸騰蒸留水中で封孔処理を行い、緻密(ちみつ)で著しく高い防食能力のものとする。厨房(ちゅうぼう)用品、建材のほか工業用品にも広く用いられる。

[杉本克久]

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化学辞典 第2版 「アルマイト」の解説

アルマイト
アルマイト
alumite

アルミニウムをシュウ酸の溶液中で陽極酸化して,耐食性皮膜をつくったものの商品名.同様の処理が硫酸またはクロム酸の溶液中で行われている.皮膜の組成はAl2O3で大部分は非晶質である.皮膜は細長い孔の密集した多孔質層と孔の底から金属面までの薄いち密な層の二重構造となっている.ち密な層の厚さは電圧により異なり,ほぼ1.4 nm V-1 である.これは通常,全皮膜厚さの0.5~20% 程度である.多孔質層の多孔度は,108~1010 cm-2 で,孔の直径は,溶液および電解条件で異なるが,10~30 nm である.多孔質層は吸着性が大きいので,染色など装飾用途には適しているが耐食性は悪い.それゆえ,耐食のため封孔処理を行う.これは,たとえば,4 atm 程度の加熱水蒸気中で約1時間加熱処理し,皮膜にγ Al2O3・H2Oを生成,膨張させることにより,孔をふさいで耐食性を向上させる操作である.

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